2013 Fiscal Year Annual Research Report
アモルファス炭素膜の重水素終端による電子欠陥低減により拓かれる電子応用
Project/Area Number |
24760254
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
赤坂 大樹 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (80500983)
|
Keywords | アモルファス炭素膜 / 重水素 / 同位体効果 |
Research Abstract |
アモルファス炭素膜の欠陥密度は本材料の電子デバイス分野への進出の大きな足かせとなっている。本研究は水素に対して質量が2倍の重水素が有する特徴である”炭素原子と重水素原子間の結合距離が水素終端より短いこと”及び”欠陥部位への到達確率の向上に有利な重水素分子の影響半径が小さいこと”を利用してアモルファス炭素系膜の欠陥密度を重水素による電子欠陥の終端という新技術の適用により抑制し, 電子デバイスとしての応用を開拓することを目的として研究を行った。 アモルファス炭素系膜の作製段階での同位体水素導入による電子欠陥の抑制を促すため通常の高純度メタン、重水素化メタン、13C同位体炭素メタンから高周波プラズマCVD法を用いてアモルファス炭素系膜を合成し、これらを比較した。H25年度の各アモルファス炭素膜の構造同定の結果を元に本年は膜への重水素および13Cの各同位体の導入による電子欠陥密度の変化を電子スピン共鳴(ESR)法を用いて評価したところ、全く同じ手法で作製したsp2/sp3比率がほぼ同じであるアモルファス炭素系膜においてもESRスペクトルに大きな違い見られた。標準資料を用いて電子欠陥密度を定量評価したところ、重水素化アモルファス炭素膜の方が水素化アモルファス炭素膜の欠陥密度、10**19個/cm3に比べて約1桁低減できることが示された。このことから導入された重水素はESRで測定される電子欠陥に対して終端能力が水素に比べて高いことが示された。このことから重水素を用いた欠陥低減技術がアモルファス炭素系膜の欠陥密度低減に効果があることが示された。
|
Research Products
(4 results)