2013 Fiscal Year Annual Research Report
嫌気環境を利用したn‐型CNTFETの伝導機構解明と大気中n‐型伝導の安定化
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24760256
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
石井 聡 東京電機大学, 理工学部, 助教 (90442730)
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Keywords | カーボンナノチューブ電界効果型トランジスタ / n-型 / 嫌気環境プロセス / 伝導型制御 / 金属被膜 / フレキシブルCNTTFT回路 |
Research Abstract |
嫌気環境プロセスにより、Alを電極に使用したカーボンナノチューブ電界効果型トランジスタ(CNTFET)を作製した。作製後のデバイスは、大気に曝さずに嫌気環境システム内で測定するとAlの仕事関数から予測されるn-型になり、デバイス固有の伝導型が電極-CNT界面に形成されるショットキ障壁の高さに依存することを確認した。また、大気中でデバイスはp-型に変化するが、真空引きや真空中アニール後に大気に曝さずに嫌気システム内で測定するとn-型に戻ることも確認し、大気中におけるp-型化の原因がデバイス表面の吸着分子であることを示せた。 また、グラフィティックカーボン電極を有するCNTFETにおいて伝導型を制御するために、CNTチャネル側面に仕事関数の異なる金属被膜を形成する手法を開発した。CNTと比較して仕事関数の小さなTiを金属被膜に使用することでデバイスをn-型に、逆に仕事関数の大きなPdを使用することでp-型にすることができた。そして、チャネル電流が金属被膜を介して流れることを確認し、ソース電極側のCNT-金属被膜コンタクトに形成されたエネルギー障壁が、デバイスのOFF状態でドレイン電極からの逆極性キャリアの注入を抑制し、逆電流を抑えることで伝導型の制御を説明できた。 さらに、プラズマCVD成長させたCNTネットワークを利用し、ポリビニルアルコールを用いた転写によりフレキシブル基板表面にCNT薄膜トランジスタ(CNTTFT)を作製した。そして、チャネル長10 umのリング発振器において、転写CNTネットワークを利用したフレキシブルCNTTFT回路として最速の1.1 us/gateの遅延時間を実現した。加えて、108個の素子から構成される53段リング発振器も作製し、一連のCNTTFT回路の作製技術が、フレキシブル中規模集積回路などのCNTエレクトロニクスに応用可能であることも示した。
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