2012 Fiscal Year Research-status Report
有機/カーボンナノチューブハイブリッドを用いた新規フレキシブル光電変換素子の研究
Project/Area Number |
24760257
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
岸 直希 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70470044)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 電子・電気材料 / 太陽電池 / ナノチューブ・フラーレン、ナノバイオ |
Research Abstract |
有機系太陽電池は軽量、フレキシブルといった特長を持ち、また低コストプロセスによる作製が期待できるため、世界中で活発に研究が行われている。しかしながら広く普及しているシリコン系太陽電池などと比べ、現状でエネルギー変換効率、耐久性に課題があり改善が求められている。本研究ではこれらを解決した高耐久、高効率を両立した有機系太陽電池を実現することを目的とし、手段としてカーボンナノチューブと有機を複合した材料を用いる点を特徴とした研究を実施する。本年度は、耐久性の高い有機薄膜太陽電池構造として知られる逆型有機薄膜太陽電池構造をベースとして、これにカーボンナノチューブ/有機複合層を導入することによる太陽電池特性の改善を目指した。逆型有機薄膜太陽電池の正孔輸送層にPEDOT:PSSとカーボンナノチューブを複合させた薄膜を用い、カーボンナノチューブの複合化が太陽電池特性に与える影響について検討した。太陽電池特性の正孔輸送層へのカーボンナノチューブ導入量依存性を調べた結果、カーボンナノチューブ導入量が少ない場合は、太陽電池の直列抵抗が低減され変換効率の改善が見られた。しかしながら導入量が過剰量となった場合は逆に変換効率が低下した。また太陽電池特性の光照射時間依存性を調べることにより太陽電池の耐久性の評価を行った結果、太陽電池特性の安定性に関してもカーボンナノチューブ導入量が過剰量の場合には低下することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでにカーボンナノチューブ/有機複合薄膜の作製、また複合薄膜を導入した逆型構造有機薄膜太陽電池の試作に成功した。またカーボンナノチューブ導入量依存性を評価し、逆型構造有機薄膜太陽電池におけるカーボンナノチューブ導入の影響の大枠の傾向を得ることができた。しかしながらカーボンナノチューブの過剰量添加において変換効率、安定性が低下する問題点も明らかとなり、さらに特性の高い太陽電池実現にはこれらを解決する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で、逆型構造有機薄膜太陽電池の正孔輸送層に導入するカーボンナノチューブ量が過剰量の場合、逆に変換効率、安定性が低下してしまうことが明らかとなった。今年度は、この原因を明らかにするとともに、カーボンナノチューブ過剰導入時に太陽電池特性が低下することを回避する手段の探索を行う。また有機/カーボンナノチューブ複合膜作製手法の見直しも図り均一性の向上をはかり、AFM、SEMなどにより均一性の評価を行う。また複合膜の均一性が太陽電池特性に与える影響を検討しさらなる高効率化、高耐久化を目指す。以上の研究を行いカーボンナノチューブ/有機複合材料をベースとした有機薄膜太陽電池特性向上の指針確立を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記研究を遂行するため、次年度は消耗品を中心に購入し、また得られた成果を発表するための旅費を申請する。
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Research Products
(1 results)