2013 Fiscal Year Annual Research Report
次世代超伝導応用装置用の高臨界電流特性をもつ高密度MgB2線材の作製に関する研究
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24760259
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
前田 穂 日本大学, 理工学部, 助手 (80610584)
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Keywords | 超伝導材料・素子 / 二硼化マグネシウム / 材料加工・処理 / 格子欠陥 / 超伝導線材 / 臨界電流密度 |
Research Abstract |
今年度は、主にCold high pressure densification(CHPD)装置の改良・導入と、このCHPD装置を用いて二硼化マグネシウム(MgB2)線材の作製・高密度化及び加圧の増大に伴う線材試料の構造と超伝導特性の評価に従事した。具体的には、前年度に明らかになった欠点、すなわち、“従来の短尺線材用CHPD装置では、加圧時に線材をはめ込む超硬合金アンビルを用いたセルの一部にわずかな隙間がしばしば生じ、その結果、最悪のケースで線材の破壊に至る欠点”を改善するため、従来の加圧機構を改良してCHPD装置を組み立て・導入した。前年度に設計したとおり、最大3.9 GPaまで加圧して線材をプレス加工することが可能になった。この改良したCHPD装置を用いてMgB2線材をプレス加工し、その構造と超伝導特性を評価した結果、従来のCHPD装置の長所を損なうことなく、線材コアが高密度して臨界電流密度の増大が明白になった。したがって、高密度なMgB2線材の作製に必要なCHPD装置を日本で初めて導入することに成功した。 また、高密度MgB2材料に関する知見を深めるため、線材より容易に作製可能な高密度MgB2バルク材を研究対象とし、その組織と構造及び超伝導特性を評価した。その結果、結晶粒間のつながりと格子歪みの両方を制御することにより、臨界電流密度が著しく増大することが明らかになった。この高密度バルク材の研究で得た知見は、今後のMgB2線材技術の開発に寄与することが期待できる。 さらに、炭素添加によって引き起こされる硼素サイトの単原子空孔や積層欠陥及び刃状転位などの格子欠陥を観察・評価したが、その形成機構の完全解明までには至たらなかった。高磁場下の臨界電流特性を改善する起源である、これらの格子欠陥の形成機構を明らかにし、高効率で欠陥を導入する方法を確立することが今後の課題である。
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