2013 Fiscal Year Research-status Report
走査型非線形誘電率顕微鏡を用いたエネルギーアシスト方式強誘電体記録
Project/Area Number |
24760263
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山末 耕平 東北大学, 電気通信研究所, 助教 (70467455)
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Keywords | 強誘電体記録 / 走査型非線形誘電率顕微鏡 |
Research Abstract |
強誘電体のナノスケール分極反転を利用する強誘電体記録は、既存の磁気記録を超える超高密度記録を実現可能な記録方式として期待されている。本研究では、熱や光などの外部エネルギーの投入によるナノスケール分極反転の容易化ならびに、その超高密度記録への応用の可能性について基礎的な検討を行っている。エネルギーアシストを用いることで、低電圧で書き込みが可能になり、より安定した書込・消去動作、またさらなる高密度化に向けた糸口が掴める可能性がある。昨年度までに、既存の走査型非線形誘電率顕微鏡(SNDM)に実装可能な新規な記録用ヘッドの開発を進めてきた。本年度は、その開発を継続する一方で原理的検討ならびに実験を進める上での指針を得るため、主として理論的検討を進めた。強誘電体の分極反転を理論的、数値的に取り扱うための数式モデルに関して、既存研究の調査を含め検討を行った。その結果、基礎的な検討を行う上で、熱力学に基づく現象論的モデルを用いることが有用であると考えられたため、これに基づく定式化を進めた。今後は、数式モデルに基づく解析ならびに数値シミュレーションに基づいてエネルギーアシストの効果に関する基礎的な検討を進める。また、得られた結果に基づいて実験的検証を進める計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ナノスケール分極反転の数理モデル化と数値シミューレーションに関して、熱力学に基づく現象論的モデルの定式化に当初の想定以上に時間を要した。結果として必要な計算機の能力の検討に遅れを生じたため、数値シミュレーション環境については未構築である。また、シミュレーション結果が未だ得られていないため、その実験的検証も行えていない。
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Strategy for Future Research Activity |
数値シミュレーション環境を早急に整え、分極反転のダイナミクスに関して数理的な観点から検討する。得られるシミュレーション結果に基づいて実験指針を定め、エネルギーアシストによる分極反転の容易化可能性について検証を進める。特に書き込みパルスの低電圧化・短パルス化の可能性を系統的に調べ、低電圧化に必要なエネルギーについて、数値結果と実験結果を比較する。また、書込・消去時の繰り返し耐性・プローブの劣化抑制の可能性を実験的に検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、当初計画していた数式モデルの確立が遅延した結果、数値シミュレーション環境の構築ならびに実験的検証を次年度に延期することによって生じたものである。 延期した数値シミュレーションの環境構築ならびに実験的検証に必要な経費として、平成26年度請求額とあわせて使用する予定である。特に、新規記録ヘッドに用いる光源ならびに制御用コンピュータの購入を予定している。また、数値計算を行うための計算機およびソフトウェアの購入を計画している。旅費などは、国内外の学会出席、成果報告ならびに情報収集、調査費用として計上し、消耗品としてカンチレバー、光学部品、電子部品、機構部品の購入に充てる。
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