2013 Fiscal Year Research-status Report
植物の動的活動観察可能なイオン濃度・水分量同時計測センサ開発
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24760277
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
二川 雅登 豊橋技術科学大学, テーラーメイド・バトンゾーン教育推進本部, 特任助教 (90607871)
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Keywords | 電気伝導度 / 親水性 / 土壌 / 絶縁分離層 / 精密農業 / 斜面崩壊 |
Research Abstract |
本研究は、土壌水分量の影響を受けないイオン濃度センサの製作を目指している。そして、このセンサとこれまでの研究成果である電気伝導度センサとを集積化し、イオン濃度に影響を受けない土壌水分量センサを実現することを目的としている。 平成24年度は市販の棒電極を用いた、提案モデルの実証実験に成功している。平成25年度前半では、前年度末に完成したセンサチップを用いたポストプロセスの実施、組立て、評価を行っていった。本試作における設計のポイントとして、絶縁分離層の厚膜化、及びセンサ表面膜の検討が挙げられる。センサ電極下部の基板を介して流出するリーク電流を極力低減できるよう、断面方向のプロセス設計を見直し、電極下部の絶縁分離層の厚膜化を実施した。予備実験として電極埋め込み性などの検討を行い、これまでの1μmから、2.15μmにまで厚膜化できる条件を確立した。組立後のセンサ特性評価において、10 kHz近傍でのセンサ計測時の下限値の向上を確認することができた。センサ表面膜の検討では、従来のSiNx膜と共にSiOx膜の製作も行った。センサ表面は保水性の強い土壌粒子に接触するため、土壌中溶液の接触の不安定さが懸念されていた。そこで、疎水性となるSiNx膜、親水性となるSiOx膜のそれぞれのセンサチップを製作し、土壌計測繰り返し試験を実施した。その結果、親水性のSiOx膜が疎水性のSiNx膜に比べ半分以下の計測ばらつきとなることをつきとめた。 精密農業や土砂崩れなどの現場計測を行うために十分な性能を有するセンサチップの製作をおこなうことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の実施予定であった、センサチップ断面構造の検討、表面膜構造の検討及び評価が予定通り完了している。また、新たに土木分野の専門家と共同実験を行うことができ、製作したセンサの現場計測に向けた実証研究をスタートしたところである。H25年度からH26年度にかけて実現する予定の、現場計測に向けた小型計測システムの製作は設計に着手しているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
製作したセンサを農業・防災現場へ持ち込み、計測精度や分解能などについて、それぞれの専門家と共に検証を行っていく。これらの結果をフィードバックしながら、平行して現場設置可能な小型計測システムの製作を行う。センサチップのマウント方法など改良を必要とする場合は、早期にセンサを再製作しフィールド試験につなげていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
センサ駆動回路用の1次試作機の製作について、平成25年度末の完成を目指し経費を計上していた。しかし、設計の遅延と図面生成用ソフトのエラーなどが重なり想定していた期間より遅延が生じてしまい、平成25年度中の使用が困難となった。そのため、平成26年度早々に製作できるよう、繰り越しの手続きを行った。 平成26年度早々にセンサ駆動用1次試作機の製作を行い、その性能評価を実施する。この結果を元に、当初計画どおりに更なる駆動回路の改良やシステム構築、センサ製作を行い、全体スケジュールとして遅延が発生しないよう進めていく。
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Research Products
(13 results)