2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24760281
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
雨宮 嘉照 広島大学, ナノデバイス・バイオ融合科学研究所, 特任助教 (20448260)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 光変調素子 / マイクロ・ナノデバイス |
Research Abstract |
24年度は片持ち梁形状導波路の作製と作製工程の確立が主なもので、それ以降の年度は素子の改善および素子性能の解明やセンサー応用など測定が中心となる計画にしていた。導波路の形状としては、スポットサイズ変換器と呼ばれるテーパー構造とスロット導波路と呼ばれる導波路にある幅で溝が存在している形状を考慮する予定であった。 その中で、今年度はシリコン窒化膜を用いたスロット導波路の作製とバイオセンサーへの応用についての実績が主なのもとなった。スロット導波路としては当初は横型の構造を考えていたが、スロット幅の制御のし易さから、縦型の構造を採用した。但し、電極形成には横型のほうが優位であるので、今後の研究の進捗により優位な方を採用する予定である。バイオセンサーの応用としては、ショ糖濃度の検出およびバイオセンシングの測定ではよく用いられているビオチン-ストレプトアビジン反応の検出には成功している。今後は屈折率変化による効果と、形状依存の質量及び電気的な作用による効果の分離を行なう予定である。また、この素子の作製とバイオセンサーの測定により、測定に耐えうるだけのシリコン窒化膜の堆積条件と片持ち梁形状の形成条件は、選定することができたと考えられる。ここで、シリコン窒化膜の堆積は低圧化学気相成長(CVD)法を用いて堆積させ、窒化膜の間には酸化膜を堆積させることにより、窒化膜の応力による堆積膜のひび割れを起こす効果を低減させた。片持ち梁形状の形成については、当初予定していた長さや幅ではないが、窒化膜間の酸化膜をフッ酸処理の時間を調整して除去することにより、両持ち梁形状や微小な片持ち梁形状が作製できることを実証した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定より進展している部分と、遅れている部分の両方があり、全体的には順調と考えられる。進展している部分は、24年度以降で測定を行う予定であったバイオセンサーへの応用ができており、ショ糖濃度の検出およびビオチン-ストレプトアビジン反応が検出できている点である。遅れている部分は、スポットサイズ変換器と呼ばれるテーパー構造の片持ち梁形状を作製する予定であったが、まだ作製には至っていない点である。その他、膜の堆積方法や梁構造を作製するためのフッ酸処理などは、当初予定していた工程で達成できている部分であり計画の進捗状況は標準的であると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
25年度は、24年度に実施できなかったスポットサイズ変換器を付与した片持ち梁形状導波路の作製を行う。スポットサイズ変換器の作製はSilicon on Insulator (SOI)基板を用いるなど、素子作製が容易になるような工夫を講じる。 また、24年度に続きスロット導波路の作製を行い、光学測定の結果から素子の作製条件や膜厚や梁構造の長さなどの素子の構造自体も改善させる。具体的には、光伝搬損失が低く光出力強度が高い、もしくは高感度な光変調が行えるような導波路の最適条件を探索していく。 バイオセンサーとしての測定は、24年度には屈折率変化による効果と、形状依存の質量及び電気的な作用による効果の分離を行なえていなかったので、分離ができるような素子構造を提案し素子の最適化およびバイオセンシングの測定を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度の申請で計上していた設備費用で購入予定であった光学測定用装置が、実験の遂行上および装置選定を慎重に行なうために、まだ未購入なので24年度の未使用額があり、25年度分とあわせ次年度使用額のうち1,500,000円程度はこの装置の購入に充てる。光学測定用装置は、可視光の測定には欠かせないもので、素子の評価及び光学特性の波長依存性の解明には必要不可欠である。 その他の金額については、デバイス作製・試作・評価のために必要な消耗品、学会発表や関連研究者間での打ち合わせ等の旅費、研究補助してくれる学生への謝金、印刷費などの諸経費に使用する。
|
Research Products
(3 results)