2014 Fiscal Year Research-status Report
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24760281
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
雨宮 嘉照 広島大学, ナノデバイス・バイオ融合科学研究所, 特任助教 (20448260)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 光変調素子 / マイクロ・ナノデバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
24年度は、シリコン窒化膜とシリコン酸化膜との多層構造の光導波路を形成し、その後フッ酸処理にて光導波路中に溝を付加させた構造のスロット導波路呼ばれる素子の作製とバイオセンサーへの応用が主であった。バイオセンシング素子の応用としては、ショ糖濃度の検出およびビオチン-ストレプトアビジン反応(バイオセンシングの測定ではよく用いられている反応)の検出には成功しており、以前の単純な導波路構造の素子より改善していることを確認した。 25年度は、Silicon on Insulator (SOI)基板を用いて、数種類の片持ち梁形状を付加させた導波路の作製と評価を行った。光の進行方向に対して導波路の幅を変化させたスポットサイズ変換器と呼ばれる構造を向き合わせた素子や、24年度に作製した縦方向のスロット導波路構造とは異なり横方向にスロット構造を付加させた素子の作製を実施した。作製工程の大まかな確立を行い、1V以下の低電圧で動作するスロット導波路素子構造の見積もりをシミュレーションにより行った。但し、1V以下になるような構造を作製するには、更なる作製プロセスの見直しが必要であることが分かった。 26年度は、SOI基板を用いたスロット導波路素子の改善が主となった。25年度の実験とシミュレーションから50nm以下のスロット幅が必要であることがわかり、素子のパターニングを行うための電子線描画装置やパターンを形成するために必要な塗布膜であるレジストの変更を行った。作製した素子を用いた光学測定から、性能指数の一つであるQ値の改善および動作電圧の改善を確認した。但し、シミュレーションにて見積もった値までには到達していないので、シリコン層の不純物濃度の変更や素子構造の最適化など更なる改善が必要であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
片持ち梁形状の光導波路の作製技術の構築については、当初の予定通り進行したと考えられる。応用実証については、電圧駆動光変調素子としては、光変調動作は確認できているが性能向上が必要という段階であり、バイオセンサーとしては感度の面からはある程度目標には達しているが、波長依存性など学術的な面については、不十分な点がある。これらの事項を鑑みて計画の進捗状況はやや遅れていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの年度期間中に素子の作製技術についてはある程度確立しているので、27年度はその作製工程を用いて素子を作製し、素子構造の変更などで素子性能の改善を行う予定である。さらにバイオセンサーへの応用については、光の波長を今までの1.5マイクロや1.3マイクロ以外の光を用いることにより、感度の改善だけでなく波長依存性など学術的な面についても考察する。光変調素子としては、素子構造だけでなく不純物濃度などいままで考慮してこなかった点を変更することにより、光変調動作の改善を目指す。 異なる波長帯での測定には、27年度の予算にて購入予定の機器を用いて測定し、測定結果から新たな示唆が得られると期待されるので、その結果を素子作製工程や素子構造に反映させ、実験の進捗向上や素子の改善に努める予定である。
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Causes of Carryover |
バイオセンサーへの応用について、素子の高性能化や波長依存性の測定のために、現有の1.3ミクロンや1.5ミクロン帯以外の光源を購入し、シリコン窒化膜導波路を用いた素子にて光学測定を26年度に行う予定であった。しかし、当初予定していた光源からの変更およびその選定を行うために、未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額の主な部分1,000,000円を、27年度の実験遂行に必要な上記記載の光源もしくはその代替となりえる装置の購入に充てる。また、残りの金額を該当年度に達成した成果を発信するための学会発表用の旅費や、実験に必要な消耗品の購入としても使用予定である。
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Research Products
(3 results)