2013 Fiscal Year Research-status Report
コグニティブ無線に適した学習型占有率測定法の最適設計
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24760293
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
田久 修 信州大学, 工学部, 准教授 (40453815)
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Keywords | コグニティブ無線 / ランデブチャネル / 周波数共用利用 |
Research Abstract |
本課題は周波数資源を開拓的に利用するコグニティブ無線において、送受信機の接続チャネルを高速に共通化するランデブチャネル法について検討を進めている。 現在、チャネルの利用状況を測定する学習型占有率測定法を基本としたランデブチャネル法の検討を進めている。平成25年度では次の成果が得られた。 1.実無線環境における電波伝搬による占有率測定への影響を明らかにするため、昨年に引き続きISM-BANDでの実機測定を実施した。二つの無線局が独自にチャネルを使用する環境を想定し、二局間距離を変えたときのチャネルの利用状況の変化を観測した。その結果、特に二局間が視野に入るLOS環境では、相互干渉が強く現れるため、二局間距離とチャネルの占有率に相関関係が認められた。 2.ランデブチャネルの確立に必要な制御信号の送信回数を抑える、待機端末の接続ルールについて検討した。制御信号の送信は、待機端末に自局の存在を通知するために必要になるが、不要に送信することはチャネルの利用効率の低下を招く。そこで、待機端末がチャネル接続する一定の規則を設けることで、制御信号の発信者が待機端末の存在を予測できるようになり、制御信号の送信回数を抑制することが可能になった。 3.高速化を実現する待機端末の準最適な接続割合を設計した。2.と関連して、各チャネルへの接続の割合について、ランデブチャネルに要する時間の観点で最適設計し、高速化を図った。 4.ソフトウェア無線機による実証実験の基礎検討として、受信機雑音電力を評価した。これにより、他無線機の信号の有無を検出する際に必要な電力閾値の設計に際して、雑音の影響を回避する適切な閾値設計が可能になり、高感度化を図ることができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ランデブチャネルを確立するプロトコル検討では、高速化と同時に制御信号の発信回数を抑制することを両立する待機端末の接続割合及びルール設計を進めた。その結果、平成24年度と比べてさらに高度化が進んでいるといえる。また、実無線環境での測定実験では、無線局数が二局に限定されるが、実無線環境の影響を考慮した測定を進め、無線環境と占有率の関係性を明らかにした。以上の検討については、多くの成果が得られているのに対して、ソフトウェア無線機における実装評価については、機器の取り扱い習得に時間を要したため、当初計画よりも若干遅れている。しかし、本年度の雑音測定における試行錯誤の結果から、ソフトウェア無線機の取り扱いを習得し、来年度本格的な実機検証に移行できる見通しを持っているため、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、実機検証と大規模ネットワークを意識したプロトコル最適化検討を進める予定である。 1.実機検証では、ソフトウェア無線機(USRP)を利用した利用率測定を実施する環境を構築し、ISM-BANDにおける屋内実証を進める予定である。提案する学習型占有率測定法の利点である、低占有率チャネルの高速探索の性能について探索に要する時間の観点で評価を進める。今回導入したUSRPは接続チャネルの周波数を大きく変更した場合、過渡的なスパイクが現れる現象を確認している。このことはハードウェア上の仕様であるため、回避することは困難である。そこで、スパイクが発生する制約がある中で、チャネルの高速探索が可能であるかどうかを明らかにする。次に、搬送波の発生と受信をする簡易な通信機構を構築して、ランデブチャネルの成立に要する時間を評価する。無線免許の取得には多くの時間を要するため、有線系で実機検証を進める。 2.現状の評価では、利用できるチャネル数が数単位に限定されている。しかし、今後のコグニティブ無線の発展において、チャネル数と無線局数が増大することが予想される。そこで、昨年度確立した最適な待機端末の接続割合やパターンの設計を大規模ネットワーク環境において進める。ここでは、大型計算機を用いた並列計算を進めることで、大規模ネットワークでのシミュレートを実現し、評価設計を進める。 以上の実機検証と大規模プロトコル設計の両検討から、本研究課題の目的であるコグニティブ無線が開拓的に周波数資源を拡張した場合においても、高速な送受信機の接続チャネルの共通化ができる可能性について、定量的、定性的さらには実機検証により明らかにする予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画ではソフトウェア無線機(USRP)の拡充を予定していたが、USRPの操作方法の習得に時間を要したため、USRPの台数を増やした検討まで至らなかった。 1.ソフトウェア無線機(USRP)の拡充及びISM-BANDの簡易測定器などを購入し、構築した無線環境測定機構と市販製品との比較をすることで、動作確認をする。2.来年度が最終年度に当たり多くの研究成果が得られることが期待される。研究成果の対外発表を促進するため、学術誌への掲載費用、学会発表に係る出張費用、学会参加費用として使用する。3.大規模コグニティブ無線システムでの運用検証のため、多数無線機を想定したシミュレーション評価を予定している。シミュレーション環境構築のため計算機及び周辺機器の導入及び専用シミュレーションソフトウェアの購入を予定している。4.屋内外での測定において、バッテリーや配線ケーブルなどの消耗品の購入を予定している。
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Research Products
(8 results)