2013 Fiscal Year Research-status Report
近距離障害物検出のための周辺環境情報を用いた車載用レーダネットワークに関する研究
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24760294
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
羽多野 裕之 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40402531)
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Keywords | 信号処理 / 高度交通システム / 障害物検出システム |
Research Abstract |
申請者は,車輌周囲に存在する障害物を検出することを検討している.これにより安全性・環境性・快適性に優れた交通システムが期待できる.現在,カメラやレーダなどの方式が実用化されている.普及に伴う低価格化を受け,本申請内容では信頼性確保のために1方式ではなくカメラとレーダを利用した複数方式での多重化を試みる.特にレーダとして,広視野角を有するレーダネットワークの適用を試みる.本助成では多重化の方法として,双方における検出結果の単なる統合ではなく,レーダネットワークでの検出の際に,カメラでの検出結果を有効利用するような統合手法を検討する.具体的には,前方監視カメラ等によって認識された周辺環境情報を元に,周辺からの反射信号をも積極的に駆使することで,レーダネットワークの性能向上を狙うことを目的とする.これにより,より高信頼で,より正確に障害物を検出可能なシステムの実現を目指すものである. 上記研究を遂行する過程で,当該年度では(a)提案手法の改善(昨年度導かれた課題),(b)より具体的なモデルを用いたシミュレーション環境の構築とその評価の2点について取り組んだ. 取り組み(a)について,前年度では,障害物を面としてモデル化するために電波伝播シミュレータを導入し,評価を行った.結果,提案手法の有効性が認められなかった.当該年度では,提案手法の改善に取り組んだ.改善手法では,障害物が面を有する実際の立体物であっても検出可能であり,挙げられた課題を克服することが可能となった. 取り組み(b)について,レーダネットワークを装着した自車輌の前方を走る車輌を検出することを想定した.具体的には,3次元車輌モデルの準備と,代表的なシチュエーション(1車線幅の道路,2車線幅の道路,先行車輌,対向車輌など)の実装を行った.これらを用いて評価を行っている過程であるが,現在のところ,有効性が確認できている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,車輌周囲に存在する障害物を検出するシステムの構築を検討している.特に,近距離の障害物を検出するために,現在実用化されてきているカメラと,広視野角を有するレーダネットワークとの多重化を試みている.本申請では単なる多重化ではなく,前方監視カメラ等によって認識された周辺環境情報を元に,周辺からの反射信号をも積極的に駆使することで,レーダネットワークの性能向上を狙うことを目的としている. 本助成の総目的として,「既提案手法の実環境に即したモデルでの評価」と「既提案手法の改善と高度化」を挙げている. 初年度では,従来まで行ってきていたシンプルな障害物,ならびに周辺環境モデルと種々の仮定を再検討し,より実環境に近いモデルを想定可能なシミュレータを導入した.導入したシミュレータによって提案手法を評価し,改善を行った結果,有効性が不十分であるという課題が生まれた. そこで当該年度では,導かれた課題を元に手法のブラッシュアップを図った.その結果,より実環境に近い3次元モデルを利用した評価においてでも,有効性を確認することができる手法が現在,導けている. 以上のように,申請当初の提案手法における課題の新たな発生や,それによる改善手法捻出の必要性により,遅延と計画変更が余儀なくされているが,改善を図りつつ進めてきた手法によって,今のところ有効性が確認できている.よって,本助成を通しての総目的に即して研究が進められてきているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度において,新提案手法を導いてきた.この手法について,引き続き,評価を行っていく.特に,構築した3次元車輌モデルと,代表的なシチュエーション(1車線幅の道路,2車線幅の道路,先行車輌,対向車輌など)をベースに評価をまとめていく.また,次年度は本助成の最終年度である.有効性が導けている改善手法について,成果発表を行う年度としても位置づけている.国際会議の場での発表1件,国内会議での発表1件,また論文誌への投稿をもチャレンジしていく所存である. また,次フェーズへ展開として,評価をまとめる過程で本研究の課題を導く.本研究では取り組むことが出来なかった,実際の光学系センシングデバイスを用いた実装を視野に入れ,課題を洗い出して行きたい.これらは,今後の本研究の継続の有無の判断を含んでおり,学会参加による各方面の専門家に意見を伺いつつ,検討を行っていく予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度に既提案手法の要改善課題が発生した.そのため,その改善に注力したためである.加えて,研究代表者の異動により研究拠点間の出張旅費の支出比重が大きくなったため,当初の支出予定と相違が生じている. 前述してきたように,当該年度に急遽取り組んだ内容によって,新たな成果が排出できた.まずは,この新たな成果に対する成果発表と指導享受に充てると共に,先延ばしとなった検討事項(光学デバイスとの融合)に着手できるよう,今後の課題の洗い出しの準備に充てる所存である.
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Research Products
(2 results)