2013 Fiscal Year Research-status Report
高信頼性・超寿命を達成する高度自律分散無線ネットワーク技術に関する研究
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24760295
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
石橋 功至 電気通信大学, 先端ワイヤレスコミュニケーション研究センター, 助教 (80452176)
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Keywords | 省電力化 / 国際情報交換 / 米国:韓国:ドイツ / 無線分散ネットワーク / 協調通信 / 高信頼通信 / ネットワーク符号化 / RFエナジーハーベスティング |
Research Abstract |
本研究課題では、ノード間の協力通信をベースとし、物理層からMAC 層までのクロスレイヤ設計により、数十年単位で膨大な観測データを効率よく長期間にわたり取得できる、低消費電力かつ信頼性の高いユビキタスセンサネットワーク実現のための基礎理論の構築を目的としている。今年度は特に1)ネットワークのトポロジ構造を積極的に利用した新たな協力通信法の設計、2)USRPによる協力通信システムの実装と評価、3)RFエナジーハーベスティングの併用によるさらなる長寿命化の可能性、の3点について検討を行った。1)の成果として、帯域利用効率の低下なしにネットワーク符号化を構成でき、また各端末における処理量を増加させることなく優れた誤り率特性を示す新たな適応ネットワーク符号化協調方式を提案した。さらに修正LDGM符号を提案し、低複雑度のままさらに特性改善が可能であることを示した。また本方式では前後の送信パケットと変調点上で結合する。そこで複数の受信パケットから計算される外部値を相互に利用することで大幅な特性改善が可能であることを示し、低演算量でこれを達成するスライディングウィンドウ型復調・復号器を提案した。2)の成果としては、静岡大学猿渡俊介助教と協力し、USRP2での無線システム全体の実装を完了し、現在評価を行っている。今後これを利用して、実環境における特性評価などの検討をする予定である。最後に3)の成果として協調端末が自身のバッテリーを一切消費することなく協調通信を実現するRFエナジーハーベスティング技術に基づくAmplify-and-Forward型協調ダイバーシティ技術を提案した。その結果、協調端末が送信端末の非常に近傍に存在する場合に本方式が優れた特性を示すことを明らかにし、これを拡張した動的協調方式を現在検討してる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画においてあげた4つの課題、1)ソフトウェア無線機USRPによる協力通信方式の実装および実環境における特性評価、2)帯域利用効率と電力利用効率のトレードオフを考慮した変復調設計、3)ネットワークのトポロジ構造を積極的に利用した新たな協力通信法の設計、4)環境情報のもつ冗長度を利用した圧縮センシング技術のうち、2および3についてはほぼ解決の目処がたった。また1のUSRPの実装についても大部分の実装が完了しており、最終年度において実環境における特性評価などを具体的な省電力化の効果について議論をする段階にきている。また2および3に加えてRFエナジーハーベスティングという新しい技術を用いたさらなる長寿命化について検討を行っており、理論的研究に関しては当初の研究計画よりもさらに研究が新たなフェーズに進展している。また4の圧縮センシングについては当初計画においても最終年度の課題となっており、これも計画通り進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の通り全体として研究は順調に進展している。最終年度ではソフトウェア無線機USRPの実装を進め、実環境での省電力および高信頼性の定量的な評価を中心に検討する予定である。また4の圧縮センシングについては環境依存の部分が大きく、一般化されたシステムにおいては適用した場合の省電力化効果が小さいことが考えられる。一方で今年度の研究で新たに研究テーマとしてあげたRFエナジーハーベスティングは環境に依存せずに、ネットワーク全体として電力の利用効率を向上できるため、圧縮センシング技術を実現可能かどうかという実環境データの取得に時間がかかりそうな場合には、こちらを中心に検討を進めていく。現在RFエナジーハーベスティングは世界的に注目を集めており、初年度において我々が発表した国際会議も多くの引用がされている。この点を考慮してもRFエナジーハーベスティングを利用した協調通信に力をいれることにより、戦略的に本研究課題のインパクトを高めることが可能となると考えられる。
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Research Products
(7 results)