2014 Fiscal Year Annual Research Report
高信頼性・超寿命を達成する高度自律分散無線ネットワーク技術に関する研究
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24760295
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
石橋 功至 電気通信大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (80452176)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 省電力化 / 無線分散ネットワーク / 協調通信 / ネットワーク符号化 / RFエナジーハーベスティング / 符号化協調 / 国際情報交換 / ドイツ:シンガポール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題ではノード間の協力通信をベースとし、物理層からMAC層までのクロスレイヤ設計により、数十年単位で膨大な観測データを効率よく長期間に渡り取得できる、低消費電力かつ信頼性の高いユビキタスセンサネットワーク実現のための基礎理論の構築を目的としている。初年度では中継端末の増幅器における電力消費に着目し、帯域利用効率と電力利用効率のトレードオフの観点から中継通信の省電力化について議論した。2年目では変調空間をより積極的に活用し、帯域利用効率を低下させることなく、優れた誤り率特性を達成する重畳型適応ネットワーク号化法を提案・解析した。これらの成果によって、センサの通信を高信頼かつ省電力にすることが可能である一方、一部の通信品質の悪い端末のために他端末のバッテリーが消費されることとなり、協力通信によって通信の信頼度が向上する一方、ネットワーク全体の電力消費量が増大するという問題が明らかになった。最終年度では他者の送信した電波からエネルギーを回収するRFエナジーハーベスティングに着目し、研究を行った。その結果、中継端末が送信端末の送信電波から得られる電力だけで、外部電源をもった場合と同等の信頼性を達成可能であることを示した。さらに中継端末が送信端末に近い場合には、帯域利用効率を損ねずに、さらに効率的なエネルギーの回収・中継が可能であることを示した。また端末の省電力化をさらに押し進めるため、分散多次元空間結合RA符号を提案し、現実的なパラメータで、全ての端末がフェーディング通信路における理論的な限界であるエルゴード容量を達成可能であることを明らかにした。これらの基礎技術によって今後バッテリーレスで駆動する半恒久的なセンサネットワークが理論上実現可能であることを示したことは重要である。しかしながら、実装のために乗り越えるべき課題は数多く残されており、今後のさらなる研究が必須である。
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