2013 Fiscal Year Research-status Report
MIMO技術を用いた大容量無線メッシュネットワーク
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24760296
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岡田 啓 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 准教授 (50324463)
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Keywords | 無線メッシュネットワーク / MIMO / スマートグリッド / スマートコミュニティ / 無線LAN |
Research Abstract |
本研究ではMIMO技術を用いた大容量無線メッシュネットワークの実現に向け,「MIMOメッシュネットワークのための送信レート制御」と「マルチユーザMIMOを用いた無線メッシュネットワーク」の二つのサブテーマに取り組んでいる. 「MIMOメッシュネットワークのための送信レート制御」に関し,平成25年度は,前年度の測定結果を基にMIMOメッシュネットワークのための送信レート制御方式を検討した.無線メッシュネットワークではノードは固定設置されるため,通信路状態の時間変動が少ない.そこで,通信路状態が変わらない間はある最適な送信レートを用い,通信路状態が変化した場合に新たに最適な送信レートを探索する半固定レート方式を採用した.このとき,アンテナごとのRSSIの変化を観測することで通信路状態の変化を検出する手法を提案した.提案手法を実験により性能を評価した.まずは他の要因により特性に影響が出にくいよう,一組の送受信ノードを用いたシングルホップ環境で実験を行った.その結果,通信路状態の変化を検出するための閾値を適切に設定することで,スループットが向上することを確認した. また,「マルチユーザMIMOを用いた無線メッシュネットワーク」に関し,平成25年度は,単一のノードに着目するのではなく,これを拡張してネットワークに複数のノードが存在することを想定して,マルチユーザMIMOの性能を解析により求めた.無線メッシュネットワークでは隠れ端末問題により,受信ノードにおいて他の送信ノードからのパケットと衝突が発生してしまう.マルチユーザMIMOでは複数の受信ノードが存在するため,この隠れ端末問題による影響が大きくなる可能性がある.このことを考慮した性能評価手法として面的伝送効率を提案し,マルチユーザMIMOが無線メッシュネットワークで有効であることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請段階における平成25年度の目標は,「MIMOメッシュネットワークのための送信レート制御」に関してはMIMO メッシュネットワークのための送信レート制御方式の考案であった.これに対し研究実績の概要に述べたように,アンテナごとのRSSIの変化を観測することで通信路状態の変化を検出する手法を提案している.実験による性能評価の結果,スループットの向上を確認しており,この目標は達成できている. また,「マルチユーザMIMOを用いた無線メッシュネットワーク」に関しては,隠れ端末の影響を和らげるマルチユーザMIMOのためのアクセス制御方式を考案することであった.しかし,平成24年度の検討結果より,マルチユーザMIMOでは複数の受信ノードが存在するため,この隠れ端末問題による影響が大きくなる可能性があることが予想された.そこで,研究実績の概要に述べたように平成25年度において隠れ端末問題による影響を考慮した性能評価手法として面的伝送効率を提案し,マルチユーザMIMOが無線メッシュネットワークで有効であることを確認した.当初の計画では平成25年度にアクセス制御方式の考案を行い平成26年度にその再検討を行う予定であったが,本年度の研究成果により,アクセス制御方式の効率を高める上での指針を得ることができ,目標をほぼ達成できたと言える. 以上の理由により,本研究課題はおおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
「MIMOメッシュネットワークのための送信レート制御」に関し,平成26年度は,MIMOメッシュネットワークの状態監視技術について検討する.MIMO技術は送信機と受信機の双方で複数のアンテナを利用することにより,伝送効率の向上を図っている.しかし,アンテナ数が増えることで,各リンクが持つ特徴量が増大する.さらに,空間多重を行うことで通信路の影響を受けやすくなり,リンクの性能が変化しやすくなる.このような理由から,ネットワークの安定した運用を行うためには,ネットワークの状態監視を行うことで安定した送信レートを用いることが必要であると考えられる.そこで,テストベッドを用いてこの状態監視法の検討を行う.研究代表者は大規模な無線メッシュネットワークのテストベッドを構築している新潟大学 間瀬憲一 フェローと共同研究の関係にある.テストベッドを用いた評価実験について適宜意見を求めつつ,研究を進める. また,「マルチユーザMIMOを用いた無線メッシュネットワーク」に関し,平成26年度は,昨年度の検討結果を基にマルチユーザMIMOのためのアクセス制御方式を検討する.そして,考案した方式について計算機シミュレーションにて評価する.計算機シミュレーションには,既存設備のワークステーション,およびSNT社製ネットワークシミュレーションソフトウェアQualNetを使用する.このQualNetは本研究課題のような無線メッシュネットワークの性能を評価するために広く使われている.ネットワークシミュレーションを一から作成するのは非常に大きな手間となるため,このQualNetを利用することで,その負担を軽減する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予算の有効利用を検討した結果,当初予定していたワークステーションの購入を取りやめ,既存設備で代用することにした.また,性能評価のためのシミュレーションにネットワークシミュレータを使用しなかったため,当初予定していたネットワークシミュレーションソフトウェアQualNetの購入を見合わせた.そのため,次年度使用額が生じた. 「MIMOメッシュネットワークのための送信レート制御」に関しては,昨年度購入した無線ノード機器を利用して検討を進める.無線ノード機器を設備備品費で追加購入することで,評価に用いる無線メッシュネットワークの規模を大きくする.「マルチユーザMIMOを用いた無線メッシュネットワーク」では,現実的なネットワークモデルでの性能を評価するために,既存設備である SNT 社製ネットワークシミュレーションソフトウェアQualNet を使用する. 国内外を問わず,研究成果を積極的に発表するため,国内旅費,外国旅費,および研究成果発表費用を計上する.
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