2012 Fiscal Year Research-status Report
高次統計量を基にする適応フィルタによる突発性騒音抑圧システムの開発
Project/Area Number |
24760300
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
笹岡 直人 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80432607)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 信号処理 / 音声強調 / 高次統計量 / 適応フィルタ / 補聴器 |
Research Abstract |
音声に重畳する周囲環境騒音を抑圧する手法が従来から研究されているが,騒音の定常性もしくは特性変動が緩やかであることを仮定しているため,物体が衝突するときに発生する拍手や衝撃音などの突発性騒音の抑圧は困難であった.これは突発性騒音が鳴り初めでは広帯域成分が発生し,その後,物体の固有振動に対応した周波数を中心とした狭帯域成分へ急激に変動するためである.また,騒音継続時間も短い場合が多く,さらに発生時刻の特定が難しいことが原因である.本研究では,補聴器に突発性騒音抑圧システムを搭載することを想定し,リアルタイム処理可能で,演算量が少ない騒音抑圧手法として,1次元4次キュムラントを評価関数とする線形予測器を用いる手法について検討を行う. 特に本年度は4次キュムラントを評価関数とする線形予測器による突発性騒音抑圧システムについてソフトウェアによる評価を行った.評価実験により,従来の2次統計量を基にする線形予測器では困難であった突発性騒音の抑圧が可能であることが確認された.特に本提案法は突発性騒音の狭帯域成分に対して有効であることが確認された.また,更なる演算量の削減を図るため,適応アルゴリズムの更新に必要なキュムラント演算に,期待値演算を用いず,瞬時値を用いる手法についても提案し,計算機シミュレーションにより有効性が確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,4次キュムラントを評価関数とする適応アルゴリズムの低演算化並びにソフトウェアによる実装,評価が課題であった.提案した低演算型適応アルゴリズムは従来の4次キュムラントを基にする適応アルゴリズムと比較して同等の騒音抑圧性能が確認されており,計画通りである.また,突発性騒音抑圧システムのソフトウェア実装も実施し,計算機シミュレーションにより本手法の有効性が確認され,当初の計画通りである.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降の研究課題として,4次キュムラントを基にする適応アルゴリズムの収束速度改善と騒音抑圧システムのDSP実装が挙げられる. 突発性騒音の継続時間は短い,また,本年度提案した適応アルゴリズムでは騒音の鳴り初めに対する騒音抑圧性能は不十分である.そこで,4次キュムラントを基にする適応アルゴリズムの収束速度の改善を行い,騒音抑圧性能の改善を図る. また,突発性騒音抑圧システムを低消費電力型DSPに搭載し,実環境騒音データに収録されている各種突発性騒音に対して主観評価を含めた評価実験を行う.並行して突発性騒音抑圧システムの各種設定値の検証も実施する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
突発性騒音抑圧システムのDSP実装を計画しているため,評価実験に必要な備品の購入が必要である.また,本年度に実施した研究に基づき国際会議,国内研究会での成果発表,研究動向調査のための旅費の支出を予定している.
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