2013 Fiscal Year Research-status Report
各種通信路におけるLDPC畳込み符号の能力評価と性能改善に関する研究
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24760303
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
廣友 雅徳 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00529795)
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Keywords | 誤り訂正符号 / LDPC畳込み符号 / 重み分布 / 最小自由距離 / 復号特性 |
Research Abstract |
低密度パリティ検査(LDPC)畳込み符号は畳込み符号の検査行列を低密度にして設計される誤り訂正符号であり,反復復号法によって復号することで優れた復号特性を示す.2元対称通信路や加法的白色ガウス雑音(AWGN)通信路における誤り訂正符号の性能は,重み分布(ハミング重みに対する符号語数の分布)によって評価できるが,拘束長の大きいLDPC畳込み符号の重み分布を求めることは計算量的に困難になる. 平成25年度は,昨年度に開発した擬巡回符号に基づいて構成されるLDPC畳込み符号の重み分布計算方法について,計算量評価を行い,有効性の確認を行った.また,より一般的な符号構造をもつ時変LDPC畳込み符号について重み分布の評価を行った.時変LDPC畳込み符号の評価では,特定の符号化率において最小自由距離が大きくならないことを示した.最小自由距離は2元対称通信路やAWGN通信路におけるLDPC畳込み符号の性能評価に利用できることから,この結果より,特定の符号化率では拘束長を大きくしても,性能の改善は期待できないことが分かった. この研究成果は,国内学会および研究会で発表し,論文誌に投稿中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画では,平成25年度はLDPC畳込み符号のStopping Set分布を求める方法を開発し評価する予定であったが,この研究を先送りして,時変LDPC畳込み符号の重み分布を計算する方法の開発を行った.この理由は,一般的な符号構造をもつ時変LDPC畳込み符号のStopping Set分布計算法を開発するための事前研究として,その符号の重み分布計算法を開発する必要があったからである,この重み分布計算法の研究成果によって,これまで計算が困難であると予想されていた拘束長が大きなLDPC畳込み符号の能力評価が可能になった.LDPC畳込み符号のStopping Set分布を求める方法は,重み分布計算法をベースにして開発できるため,重み分布計算の計算量削減法を,Stopping Set分布を求める方法に拡張する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,一般的な符号構造をもつ時変LDPC畳込み符号の重み分布計算方法を開発し,最小自由距離の評価を行った.この方法を拡張し,時変LDPC畳込み符号の最小サイズStopping SetおよびStopping Set分布を求める方法を開発する.平成25年度に開発したLDPC畳込み符号の重み分布計算法を拡張し,計算量を削減したStopping Set分布の計算量を開発する.また,いくつかのLDPC畳込み符号に対して,本研究を通して開発した手法を適用し,重み分布およびStopping Set分布を求め,2元消失通信路,2元対称通信路,AWGN通信路などの各種通信路におけるLDPC畳込み符号の性能を評価する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は,国際学会での研究成果発表が無かったため,当初予定していた旅費使用額が少なくなった.現在,平成25年度の研究成果を,国際学会および論文誌に投稿しており,それらが採録された場合,旅費,掲載料として次年度に使用する予定である. 平成26年度は,各種通信路におけるLDPC畳込み符号の性能を評価するために,計算サーバを複数台購入し,ネットワークで接続して,数値実験環境を構築し,それを用いて数値実験を行う.この実験を効率的に進めるために,計算サーバを複数台追加する必要がある.また,これまでの研究成果を国内・国外の学会で発表するために,参加費,旅費が必要になる.さらには,本研究を通して行った研究成果を論文誌に投稿するため,採録が決定したとき,その掲載料が必要になる.
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