2012 Fiscal Year Research-status Report
ブロードバンド通信を利用した無線電力伝送システムの高効率化
Project/Area Number |
24760304
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
稲森 真美子 慶應義塾大学, 理工学部, 助教 (70571222)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 無線電力伝送 / 高効率化 / BPF / データ通信 / OFDM |
Research Abstract |
近年注目を集めている無線電力伝送システムでは,コンデンサやインダクタンスなどの素子の値,充電中の負荷の変化および送受信アンテナ間の位置ずれが伝送効率などの基本性能に影響を与える.そのため,電力を無線により伝送する際にはできるだけ高効率で電力伝送を行えるよう,事前に伝送する周波数,電力量および回路素子の値などのデータ通信を行うことが必要である. データ通信において,この送受信アンテナの等価回路はBPF(Band Pass Filter)とみなすことができ,その帯域幅は送受信アンテナ間距離によって変化する. 特にアンテナ間が近い場合には共振分裂が起こる.そこで平成24年度には,以下についての検討を行った, 1.共振型無線電力伝送における最適変調方式 データ通信に共振分裂によるフェージングに強い広帯域OFDM信号を用いることにより,伝送エネルギーの高効率化をサポートする通信システムモデルの構築を行った.また,アンテナを設計・製作し,ネットワークアナライザを用いた送受信アンテナ間の伝達特性の評価検討を行った. 2.負荷変動を考慮した無線電力伝送におけるデータ通信 電力伝送システムでは充電時間の経過と共に充電側では負荷変動が生じる.この負荷変動によってBPFの帯域幅が変化するため, データ通信に電力伝送と同じアンテナを用いる場合, 充電によって生じる負荷と帯域幅の変化を考慮する必要がある.そこで,送受信アンテナの等価回路から回路シミュレータを用いて, 伝送路特性を求め, データ通信の伝送に用いる帯域幅を決定した.また, 回路シミュレータで用いる等価回路の受信側負荷を変化させることで負荷変動による帯域幅の変化の影響を観察し,ビット誤り率特性を算出した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
無線電力伝送システムにおける等価回路をモデル化し,計算機シミュレーションによる提案システムの伝送ビット誤り率の基本的評価を終わらせている,また実験システムの構築も行い,ネットワークアナライザを用いて伝送路特性の測定を行い,基本的評価を終わらせている.
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Strategy for Future Research Activity |
これまで等価回路によるシステムのモデル化および実験システムの構築を行った.また今後の研究として,電力伝送の高効率化を達成するため 1.データ通信を利用した位置制御に対する駆動周波数追従法 2.複数給電におけるデータ通信 について回路シミュレーションおよび実験により検討を行う. 無線電力伝送システムでは,送受信アンテナの相対位置により伝送路特性が変化するが,これまで垂直方向しか考慮されていない.そこで,垂直および平行方向に相対アンテナ位置がずれた場合の結合係数を理論式より導出し,導出した結合係数を有する BPF(Band Pass Filter)として送受信アンテナの等価回路を作成する.そして BPF の周波数特性を回路シミュレータより計算し,データ通信の検討を行う. また,複数給電における無線電力伝送では,特に受信機間においてその干渉が顕著に現れる.この問題に対し,無線電力伝送における複数給電の場合での伝達特性の変化を測定および解析し,干渉に強い変復調システムを提案・構築する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究の実施においては,まず回路シミュレーションおよび計算機シミュレーションにより提案法の評価を行う.そして実験システムにその提案法を実装し,その有効性を確認する.実験システムは,既に購入した信号発生器を用いることで構築することができる.この信号発生器は想定よりも安価に購入することができたため,初年度では未使用額が生じているが,次年度以降にはトラッキングジェネレータ付きのオシロスコープを新に購入し,伝送路特性を観察する予定である. プログラミング作成および実験を行うにあたっては,研究協力者の大学院生2名に謝金を支出する. また,初年度の研究成果に関して,研究代表者および2名の研究協力者が国内および国外にて研究発表を行う.この研究発表に必要な旅費および国際会議参加登録費を支出予定としている.また発表した論文の別刷り代も初年度と同様に支出予定である.
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Research Products
(6 results)