2012 Fiscal Year Research-status Report
静電気試験機からの気中放電に伴って発生する電磁界の厳しさ評価指標の確立
Project/Area Number |
24760306
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Research Institution | Suzuka National College of Technology |
Principal Investigator |
森 育子 鈴鹿工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (20455140)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 静電気放電 / イミュニティ / IEC-61000-4-2 / 厳しさ / 評価法 |
Research Abstract |
帯電人体からの静電気放電(ESD: Electrostatic discharge)に対する耐性試験(IEC 61000-4-2)に合格して市場に出ているにもかかわらず,携帯情報端末などハイテク電子機器のESDに起因する誤動作が未だ絶えない.その一因は,次の2点にあると考える.第一に,国際電気標準会議(IEC)規定の耐性試験そのものが実際のESD現象に忠実ではないこと.第二に,試験の厳しさ(Severity)そのものは評価されておらず,ただ単に規定の試験をパスしたということにのみ基づいて製品が出荷されているということ.本研究では,IEC規定のESDに対するイミュニティ試験のうち,実際のESD現象により忠実であるとされる静電気試験機の気中放電法について,放電に伴って発生する過渡電磁界の特性把握を行い,携帯情報端末を始めとするハイテク電子機器の誤動作発生機構の解明と,それに基づく耐性試験の厳しさ評価法の確立を目的としている. 平成24年度はESDガンの気中放電に伴って発生する過渡電磁界の,主に供試機器に直接放電電流を注入する直接放電に関して特性測定を行い,その発生機構解明を目指した. 帯電人体からのESDを模擬する静電気試験機は,放電電流を供試機器に注入するためのESDガンと,そのガンを充電するための高電圧発生器からなる.ESDガンは帯電人体の静電容量を模擬した集中コンデンサ(150pF)に蓄積された電荷を人体の皮膚抵抗相当の集中抵抗(330Ω)を介して放電電極から供試機器に放電電流を注入する.本研究では,放電時のパワーおよびエネルギーを,放電電流の測定波形と,等価回路モデルから推定した放電時の電位傾度の時間変化とから推定した.その結果,両者はそれぞれ,充電電圧の概ね1.7乗と2.1乗に比例して増大することがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
放電電極と放電対象であるターゲットの曲率の違いが放電電流と過渡電磁界に与える影響の解明に関し,実測および計算機シミュレーションを進められていない. 同時に,帯電した移動物体であるESDガンの放電対象のターゲットへの接近速度の正確な測定を行う実験セットアップについての検討が不十分であり,ESDガンの接近速度が放電電流波形に与える影響の理論的な解明が進んでいない.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,ESDガンの供試機器に対する直接放電ではなく帯電金属体からの間接放電に対する特性測定を行う.直接放電とは異なり,間接放電の誤動作機構は未だ十分に把握されていないため,実測に基づいて単純な金属間の間接放電のモデルを最初に検討する. 同時に,IEC 61000-4-2で規定されているESDガンの間接放電試験では,試験配置および接触放電による試験電圧2kVから8kVの試験を行うことを記述しているのみであり,どのような機構で供試機器の誤動作が引き起こされているのか示されていない.このことから,再現性があり,かつ有効なイミュニティ試験とは何か,またその際に,供試機器はどのような電磁環境に晒されるのかの定量的な把握方法について検討を進める.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ESDガンの放電電流波形および磁界波形測定実験のための工作費と,研究成果公表を目的として論文別刷代を計上している.
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Research Products
(1 results)