2013 Fiscal Year Research-status Report
経済実験によるプロダクトサービスシステムの構成原理の追究
Project/Area Number |
24760309
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西野 成昭 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90401299)
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Keywords | サービス工学 / 実験経済学 / システム工学 / エージェント / 生産工学 |
Research Abstract |
25年度は、前年度で構築したプラットフォームを有するプロダクトサービスシステムの基本モデルを基礎に、実サービスを対象とした詳細モデルへ拡張し、ゲーム理論的アプローチと計算機実験により理論的な観点から分析を行った。具体的には、電子書籍を対象とした。電子書籍は、コンテンツを閲覧するためのデバイス、それをネットワーク上で販売するための電子書店、コンテンツを作成する出版者等の様々なステークホルダが関与しており、それらがプラットフォームを介して、1つのプロダクトサービスシステムとして消費者に提供が行われる。本研究が対象とするプロダクトサービスシステムの具体的事例として典型的なものである。比較のため、従来の紙の書籍、CD-ROMタイプの書籍についてもモデル化し分析を行った。プラットフォームを有する電子書籍としては、携帯電話で電子書籍を見るタイプのフィーチャーフォン型電子書籍ビジネスモデル、スマートフォンやタブレット・専用デバイスで閲覧するマルチデバイス型電子書籍ビジネスのモデルの2つに分けて、その構造を理論的に明らかにした。特に、行動主体が少ない場合は解析的に均衡解を導出することが可能であるが、電子書店、デバイスメーカ等が競合関係にあるような状況下では、計算機を援用し、数値シミュレーションによってそのメカニズムを明らかにした。結果として、ネットワーク外部性の効果が大きく、デバイスの製造コストが小さくなる場合に、マルチデバイス型の電子書籍ビジネスが社会的余剰の点、普及電子書籍数の点で優位であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全体としてみれば、概ね順調には進んでいるが、被験者実験の実施の点でやや遅れがある。前年度の基本モデルをもとに、具体的事例として電子書籍を対象にした詳細モデルを構築し、理論的分析が行われ、幾つかの重要な示唆を得た点については、ある一定の達成度を満たしていると自己評価する。一方で、予定していた経済実験については、被験者の集まりが悪く計画当初どおりの被験者数での実験を行うことが出来なかった。これについては、最終年度である次年度に追加で被験者実験を実施することで、本年度の遅れを取り戻すことが十分可能であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度で最終年度となるため、追加の経済実験を行い、これまでの成果全体を取りまとめる。特に本年度で一部遅れのあった経済実験については、来年度前半に集中的に行い、最終年度の取りまとめが間に合うように適切なスケジュールで計画を進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度実施予定であった一部の被験者実験のための謝金が未使用のために、次年度使用額が生じている。 被験者実験のための謝金として、前年度からの約7万円を合わせ、40万円弱の予算を使用する計画である。また、成果報告のための学会出張費として、合計30万円程度、その他の残りの予算は消耗費や英文校正料などに充てる。
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Research Products
(3 results)