2012 Fiscal Year Research-status Report
磁気表面プラズモン効果の起源解明とナノ分解能高速プラズモニック磁気センサへの応用
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24760324
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
芦澤 好人 日本大学, 理工学部, 助教 (10453911)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 光物性 / スピンエレクトロニクス / 電子・電気材料 / 磁気記録 / 表面プラズモン |
Research Abstract |
本研究では、強磁性体の強磁性共鳴(Ferromagnetic resonance: FMR)周波数よりも高い周波数で応答可能で、かつ、微小領域情報を検出可能な磁気センサの開発に向け、表面プラズモンを用いた新規原理に基づく磁気センシング技術を開発することを目的とし、表面プラズモンの磁気応答現象を発展させ、磁気応答現象の起源解明、表面プラズモンの磁気応答特性向上、及び表面プラズモン導波路を用いた高効率光信号伝送技術の確立を目指した。 磁気応答現象の起源解明に向けた表面プラズモン励起層と磁気制御層とに機能を分離した多層薄膜構造における検討において、磁気制御層の磁性材料にCo-Ni相を用いて一原子あたりの電子数と表面プラズモンの磁気応答性との相関を検討した。本Co-Ni薄膜においてはCo相からNi相まで広組成範囲において面心立方構造の不規則構造を有し、飽和磁化も連続的に変化するため、同一の膜厚の磁気制御層を作製することにより、負の一軸磁気異方性を連続的に変化可能である。表面プラズモン励起層にはCuを用いた。表面プラズモンの磁気応答信号の増強には、上記磁気制御層の条件のみならず、非磁性層材料である表面プラズモン励起層の膜厚の最適化が有効であることを示した。一方、Co-Ni相の組成依存性については薄膜作製条件の最適化が今後の課題となった。 磁気応答特性向上の検討として、可視光の波長領域 (400 - 800 nm) における誘電分散特性を活用した磁気表面プラズモン現象の検討を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
作製した試料において吸収の大きい光学特性が得られており、期待する表面プラズモン特性に至っていないことが課題となっている。表面プラズモンを励起する層と磁気応答性を有する磁気制御層とに機能を分離した積層薄膜構造の試料において検討を行っている。その磁気制御層において、形状異方性を連続的に変化可能な材料系として広組成範囲で同一の面心立方構造を有するCo-Ni薄膜について検討を行った。このCo-Ni相においては可視光における吸収が大きく、単相では十分に表面プラズモンの励起が行えないため、表面プラズモン励起層との層構成の最適化が重要となってくる。今回作製した試料においては、積層構造においても単相と同様の傾向である吸収の大きい光学特性が得られている。この課題解決には、薄膜の成長条件の検討により表面平坦性の悪い粒状成長ではなく層状に成長させることが有用だと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
誘電率の分散特性を活用し、磁気表面プラズモン信号増強の検討を引き続き進めていく。最適な薄膜の作製条件の検討を引き続き行っていくのと同時に、材料系や薄膜構造の変更も検討する。分散特性を考慮した表面プラズモン励起層材料と磁気制御層の選定、局在プラズモンの活用を念頭に表面プラズモン励起層中に磁気制御層が分散した構造の検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(1 results)