2013 Fiscal Year Annual Research Report
常温下熱機械変位方式高速高感度光パワー標準器の開発
Project/Area Number |
24760326
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
雨宮 邦招 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 主任研究員 (60361531)
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Keywords | 計測機器 / 光カロリメータ / 光吸収体 / レーザパワー / 計測標準 / MEMS |
Research Abstract |
高速高感度MEMS型光パワーセンサの試作:初年度から検討していたMEMSセンサの最適化設計に基づき、機械変位検出方式熱型光パワー検出器の心臓部を試作した。具体的には、MEMSセンサの仕様として数mm角のSi-Alバイメタルシートを細い4本の梁(ビーム)で支える「竹とび型構造」を採用し、試作を進めた。試算の上では時定数1秒以下、等価ノイズパワー数十pW/√Hzの特性が得られる設計である。その後、完成したMEMSセンサの熱変位をレーザ変位計で計測する系を構築し、応答速度、応答感度など基本特性を評価した。その結果、MEMSセンサの熱変位の検出に成功し、時定数0.3秒という高速応答が実現できていることがわかったが、変位のパワー感度は設計値の10分の1程度であることがわかった。Al成膜の膜質が一因となっているものと考えられるが、それでもNEPは数百pW/√Hzが得られると見込まれ、従来方式の熱型光パワー検出器より一桁近い性能向上である。 光吸収体の試作:初年度に数値シミュレーション等で得られた知見に基づき、NiPブラックと同様な吸収層つきマイクロピット構造を有した光吸収体を試作した。具体的にはイオントラックエッチング法を応用し、樹脂基板上に高エネルギーイオンビームを照射後、化学エッチングで現出したエッチピットの表面に炭素系光吸収体を堆積することで低反射光吸収体とした。試作した光吸収体はSEM観察により設計通りの表面構造が得られているかどうか確認したほか、標準反射板との比較により絶対反射率評価を行った。その結果は理論予想(コンマ数%)に対し、1%弱という結果であった。これはマイクロピットのアスペクト比不足が一因と考えられ、ピット構造を鋭くすることで0.1%級の極低反射率も不可能ではないと考えられる。 得られた成果については、学会発表等を通じて公表した。
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