2012 Fiscal Year Research-status Report
高出力レーザ用イメージングパワーメータの実現に向けたイメージセンサ校正技術の開発
Project/Area Number |
24760327
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
沼田 孝之 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 主任研究員 (60420288)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ビーム診断 / イメージセンサ / レーザーパワー / パワー密度 / パワーメータ / CCD |
Research Abstract |
本研究では、CCD等のイメージセンサを用い高出力レベルのレーザパワー測定を行う「イメージングパワーメータ」の実現に向け、その要素技術であるイメージセンサの絶対感度校正技術ならびに高出力レーザ照射下で特性が安定な高耐力光減衰器の開発を目的としている。本年度はこのうち、1)イメージセンサ感度校正用光ファイバ型標準光源の開発と評価、2)プリズムペア型光減衰法の数値解析による妥当性検証と設計試作、の二点に取り組み以下の成果を得た。 1)既存の設備であるレーザ光源を光ファイバで当該実験エリアに誘導し、イメージセンサ感度校正用出力とパワーモニタ用出力に分岐する光学系を構築して光出力レベルおよび安定性の評価を行い、校正用光源としての機能を確認した。また、イメージセンサ表面に形成されるビームスポットサイズから感度校正の空間分解能の見積もるため、ファイバ先端からの出射光発散角を評価する配光測定装置を開発した。 2)電磁場解析法の一種である多重多極法を用い、2個のプリズム底面間に生じたエバネセント場の結合特性と波面の伝搬に関するシミュレーションモデルを作成した。解析解との比較計算を行ってモデルの妥当性を確認しつつ、減衰器としての機能を検証すると共にその減衰特性を明らかにした。これらを元に、光学素子の仕様等実際の系における減衰器構築に向けた技術的知見を蓄積した。 次年度は、上記ファイバ光源の改良と走査システムの開発を進めイメージセンサの感度校正を行う。並行して光減衰器の試作と評価を行い、イメージセンサベースのレーザパワー測定器を構築する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究では、1)光ファイバから絶対値が既知のレーザパワーを出射させイメージセンサ表面で走査して照射領域ごとの感度評価を行うファイバ型標準光源の開発と、2)出力10 W以上高パワーレベルのレーザ光を安定にイメージセンサの感度レベルまで減衰させる光減衰器の開発を目的としている。初年度は、両者についてアイデアの実現性の評価・検討に重点を置き研究開発を進めた。課題1)については光ファイバ光源の試作を行い、イメージセンサ感度測定において最大の不確かさ要因となることが予想される出力安定性について評価を行った。パワーモニタの設置により測定中の光源出力の変動を相殺することで測定精度の向上が見込まれる一方で、レーザ光源のポインティングスタビリティや光学素子の安定性に改善の余地があることが分かった。予定していたイメージセンサへの照射実験までは到達できなかった。課題2)については、当初計画していた数値シミュレーション手法(有限差分時間領域法)ではアルゴリズム上計算モデルの規模が大きくなり計算機資源の点で効率的でないとの判断から、より大規模なモデルに対応しやすい手法(多重多極法)に変更して検討を進め、実機の設計・試作に向けた技術知見の蓄積を進めた。しかしながら、予定していた試作機を用いた実証実験には着手出来なかった。以上の進捗状況を鑑み、達成度の区分を「遅れている」とした。計画からの遅延の理由として、本年度、申請書作成時想定されていなかった緊急の追加業務が4ヶ月間に渡り発生し、実質の年間のエフォート配分を変更せざるを得なかったことがあげられる。現在は、上記追加業務は解消しており、遅延分を取り戻すべく計画的な研究の遂行に取り組んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本プロジェクトは、光ファイバ型標準光源とその走査システムによるイメージセンサ感度測定技術の開発、および高出力レーザを安定かつ広ダイナミックレンジで減衰させる技術の開発を行い、これらを組み合わせ高出力レーザで使用可能なイメージセンサ型パワーメータの構築を目的としている。プロジェクト後半は以下の方策で研究を進める。 1)ファイバ走査型イメージセンサ感度測定システムの開発:本年度の光ファイバ型標準光源の試作と評価により得られた技術課題の対策および進捗遅延の回復に重点的に取り組みつつ、計画に従って研究開発を推進する。具体的には、光源の安定化と測定ノイズフロアの低減を図りつつ、自動ステージによるファイバ走査システムと行列データ処理プログラムの開発を行い、イメージセンサ感度評価設備を完成させる。また、イメージセンサ感度の斜入射特性や面内感度均一性の評価法を進め、レーザパワー測定における不確かさを見積もる。 2)光減衰量と像伝送特性の照射パワー密度依存性評価:本年度数値シミュレーションにより妥当性評価を行った光減衰器のモデルについて、その具現化に取り組む。プリズムと金属製スペーサを用いた試作器を開発し、積分球型透過減衰量評価システムを構築して、試作器の減衰量とその耐パワー特性について精密評価を実施する。 3)イメージングパワーメータの妥当性評価:上記1)、2)において感度評価を済ませたイメージセンサと光減衰器とを組み合わせ、本研究の目的である10 Wレベルのレーザパワーの測定を実施し、既存のサーマルセンサによる測定値との比較検討を行い、本プロジェクトを総括するとともに技術課題を整理する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、当初想定されていなかった追加業務の発生によるエフォート配分変更をうけ、計画からの遅延が生じた。このため本年度の使用を予定していた研究費の一部について、研究の進捗に合わせ次年度に繰越し使用することとした。具体的には、感度校正の対象とするイメージセンサ、光ファイバ型標準光源の出力安定化と測定ノイズフロアの低減のための高安定精密光カプラ、低ノイズ光検出器、その他実験環境の暗室化改善等として使用する計画である。また当初よりH25年度分として申請していた研究費(走査用ステージ、減衰量評価用光学部品、レーザ安全用品)については申請書通りの使用を予定している。
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Research Products
(1 results)