2013 Fiscal Year Research-status Report
高出力レーザ用イメージングパワーメータの実現に向けたイメージセンサ校正技術の開発
Project/Area Number |
24760327
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
沼田 孝之 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 主任研究員 (60420288)
|
Keywords | レーザ / パワーメータ / CCD / 感度 / 校正 / ビームプロファイラ / ビーム診断 / ビームサイズ |
Research Abstract |
本研究はCCD等のイメージセンサを用い高出力レベルのレーザパワー測定を行う「イメージングパワーメータ」の実現に向け、その要素技術であるイメージセンサの絶対感度校正技術ならびに高レーザ耐力光減衰技術の開発を目的としている。当該年度は、レーザビーム診断用として普及するCCDの感度校正技術の開発を進めるとともに、高耐力光減衰器の試作および減衰量の評価を行った。 イメージセンサ感度校正技術の開発では、当初計画していた光ファイバ方式では現有設備である空間レーザ光源と光ファイバとの結合部の不安定性により測定精度向上が制限されると判断されたため絶対パワーが既知の集束空間ビームを用いる手法に計画を変更した。これにより出力1 mW~1 Wで変動0.1%に出力安定化した波長1064 nmのビームを用いることで感度評価実験を行った。加えて、感度校正の不確かさ要因となるセンサ面内の感度均一性について、市販の複数台のCCD型ビームプロファイラを対象に評価を行ったところ、波長により感度分布に差異があり、特に近赤外波長域においては一部に10%に迫る不均一性を有するものがあること、また露光時間の設定によってはスミアにより検出特性が著しく劣化することを明らかにした。これらの特性は当該波長域を多用するレーザ加工の現場においてビーム診断の信頼性に関わることから、重要な知見として国際会議やセミナー等で情報発信を行った。高耐力光減衰器の開発では、二つのプリズムの底面を対向させて設置し一方をPZT並進ステージで移動させ底面間距離を制御しつつ、出力10 W、波長1064 nmのレーザ光のプリズム透過ビームをCCDカメラで観測するシステムを開発した。プリズム底面間距離によるビーム透過強度の可変を観測し、減衰量の評価により当研究で提案する手法によってOD6以上の減衰量が確保できることを確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、イメージセンサの絶対感度校正技術と高レーザ耐力光減衰技術を組み合わせた「イメージングパワーメータ」を構築し、10 W以上の高出力レーザのパワー測定とその精度評価を行うことを目的としている。当該年度までに、要素技術である感度校正技術と光減衰技術の開発に取り組み、それぞれ、波長1064 nmのミリワットレベルのレーザパワー絶対値を用いた感度校正法を確立するとともに、プリズム底面のエバネッセント光の再結合特性を利用した光減衰器を作製し高出力レーザによる評価実験を行って充分な減衰機能を確認した。しかしながら、当該年度は外的要因により実験用レーザ光源が使用不可能となる期間が発生し、目標達成に必要な上記の要素技術を組み合わせた10 Wレベルのレーザパワー測定、減衰前後のビーム品質評価、および既存のパワースケールとの比較による本提案技術の妥当性検証が、課題として残ることとなった。以上の理由から、上記の達成度評価区分とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、イメージセンサと高耐力光減衰器を組み合わせたイメージングパワーメータによる10 Wレベルのレーザパワー測定技術の開発、高耐力減衰器における透過減衰前後のビーム品質評価、および既存のパワースケールとの比較による提案技術の妥当性検証を行う。具体的には、パワーメータの構築においては測定精度向上に不可欠な減衰量の安定化のため減衰器の機械的堅牢性を重視した開発に取り組む。またビーム品質評価では、研究計画に記したビームプロファイルに加え波面の評価も行い実用化を念頭にした技術知見を蓄積したい。最後に10 Wレベルのレーザパワーの国家標準とイメージングパワーメータとの比較測定による精度評価を行って、測定器としての有効性を検証する。また同時に、論文発表等を通して当該研究成果の発信に取り組む。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
補助事業期間中の4か月間、応募時に想定していなかった人事異動が発生し、エフォート率の大幅な変更を余儀なくされ研究の遂行に遅れが生じた。加えて当該研究課題では、経費節約のため高額な実験設備(レーザ光源)については研究代表者所属機関の現有設備を借用する計画としていたが、外部要因により借用が不可能な期間が発生しこれが長期に及んだため、当該研究計画に遅延が生じた。これらの理由により次年度使用額が発生した。このため 次年度は、レーザ光源設備の利用が可能な見込みである。そこで研究課題の解決に向け残された実験を再開する。使途内容としては、開発した新規光減衰素子への高出力レーザ照射実験および標準器との比較実験用の消耗品費として、および当該研究成果の報告のため学会参加費用および論文投稿費用として使用する計画である。
|
Research Products
(6 results)