2012 Fiscal Year Research-status Report
安全な水素ガス漏洩検出を実現するヘテロコア光ファイバセンサの研究
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24760328
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
西山 道子 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発本部, 宇宙航空プロジェクト研究員 (60509769)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 光ファイバセンサ / 水素 / ガス検知 / 表面プラズモン共鳴 / ヘテロコア |
Research Abstract |
ヘテロコア光ファイバSPRセンサの反射率シミュレーションによるパラジウム(Pd)膜厚の最適化を行った。光ファイバSPRセンサのSPR共鳴スペクトルカーブをシミュレーションで予測した結果、SPRを起こす金属膜Auと水素吸蔵によってその誘電率が変化するPdの間に、五酸化タンタル(Ta2O5)などの誘電体を組み込むことで、Pdの水素吸蔵時の誘電率の変化を検出できることを明らかにした。そのシミュレーションでは、それぞれと膜厚と感度の関係、Pd膜厚は応答速度に大きく影響するため、早い応答速度を実現する成膜構成を検討した。ここで、SPRを利用することで、これまでになくPdを薄い膜にしても水素ガスを検出できる可能性を明らかにした。 この結果を踏まえ、Pdを成膜した光ファイバセンサの試作と評価をおこなった。シミュレーションで得られた成膜構成を実現するため、高周波スパッタリング装置による成膜と、膜厚のキャリブレーションを行った。また、安定したマルチモード光伝送が行える波長帯域850nmで動作することを目指し、SPR共鳴カーブを検討しながら成膜条件の検討を行った。結果として、水素ガス濃度0~4%vol.におけるSPR共鳴カーブのシフトを確認し、水素濃度変化を提案するヘテロコア光ファイバSPRセンサが検出できることを明らかにした。また水素センサの応答速度は、水素吸蔵時の検出速度は15秒、水素放出時の応答速度は40秒程度を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、ヘテロコア光ファイバセンサのセンサ部周囲に水素吸蔵合金であるパラジウムPdを皮膜し、水素吸蔵によるPdの誘電率変化や膨張/収縮に着目した、高感度で安全性の高い水素ガス濃度検知のセンサを構築することを目指している。まず、Pdの水素吸蔵に伴う誘電率変化を表面プラズモン共鳴(SPR)で検出することを提案し、数値シミュレーション、センサの試作、実験において実現性を明らかにした。ここで、SPRを引き起こす金属膜Auを利用してPdの誘電率変化を検出するために、その金属膜とPdの間に誘電体であるTa2O5を挿入することで可視光~近赤外領域での表面プラズモン共鳴を確認でき、水素吸蔵時のSPRスペクトルカーブシフトを確認した。また、水素濃度変化に対応したスペクトルシフト、単一波長における光強度計測での十分な光損失感度も得られることを明らかにした。表面プラズモン共鳴を用いることで、水素吸蔵時の感度をある程度維持しながら、応答速度を高められることも示し、本研究の計画を順調に進めているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
水素検出応答速度の改善を検討するため、Pd薄膜を合金化した場合の光ファイバSPRセンサの水素吸蔵特性、濃度に対する感度、応答速度を検討する。また、平成24年度の成果において、提案する光ファイバ水素SPRセンサが、常温、大気圧下で十分な水素ガス検出性能を確認したため、今後は宇宙航空機器への実用性を鑑みたヘテロコア光ファイバ水素センサの環境試験を行っていく。低温、低圧下での使用が可能であるかを評価試験を行った後、センサの成膜構成を再検討し、耐環境性能に対応した光ファイバ水素センサの構築を行う。また、実用性においては、光ファイバセンサの多点計測システムが望まれるため、その検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(3 results)