2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24760337
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
矢納 陽 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (70351658)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | モデルフリー / 強安定 / 予測制御法 / 最小分散制御法 |
Outline of Annual Research Achievements |
プロセス制御分野では現在もPID制御が中心であるが,この分野では,技術の高度化に伴ってモデル予測制御の適用が進められている.申請者はこれまで,制御対象のモデルが正確に分かることを前提として,制御系の安全性を高めるために既約分解を用いた強安定予測制御系の構成に関する研究を進めてきた.これに対し,本研究の目的は,すでに運転されている制御系の入出力データおよび目標値信号を利用してモデルフリーな強安定系を構成する手法を開発すること,および強安定率という新しい概念を提案することであった.そのため,前年度に引き続き平成26年度もこの2点に関する研究を行った.具体的には,既約分解表現を用いて強安定率を定義し,安全性を表す指標として提案した.また強安定率を制御系設計に利用できることを示した.さらに,入出力信号と目標値信号を用いてセルフチューニングコントローラを構成し,得られた制御系の強安定率を逐次計算することで,制御系の安全性をオンラインで評価した.本年度のポイントは(1)強安定率の概念を提案し(2)モデルパラメータの真値が未知な制御対象に対し強安定系を構成し,その安全性を評価した点にある.これらは,安定かつ安全なモデルフリー強安定系の構成という点で重要な意味を持つ.また,プロセス制御分野以外への適用も視野に入れ,ロボティクス分野の一つとして冗長マニピュレータの形状制御に関する研究も行った.本研究では制御結果からマニピュレータの将来形状の予測値を計算し,それを制御に利用することで目標値追従しつつ障害物回避能力を高く維持できることを確認した.これらの成果については学術誌上で報告した.今後も引き続き,モデルフリー強安定系の構成法に関する研究を行う.さらにこれまでの成果をもとに,オンデマンド型フィードバック制御系の研究を展開する.
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