2013 Fiscal Year Research-status Report
超離散力学アプローチによる非線形分布定数系に対する高精度制御法の開発
Project/Area Number |
24760339
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
甲斐 健也 東京理科大学, 基礎工学部, 講師 (60419471)
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Keywords | 離散力学 / 非線形システム / 分布定数系 / 数値計算 / 制御理論 / 非線形最適化 |
Research Abstract |
本研究課題の2年目にあたる平成25年度では,分布定数系に対する離散力学の基礎理論構築ならびに制御への展開を目指して,以下のようないくつかの研究テーマに取り組んだ. (1)前年度に導出した「離散Euler-Lagrange方程式」では外力の考慮を行っていなかったが,システムにおいて摩擦力や制御入力や実現して,より現実に近いモデルを導出するためには外力が必要不可欠である.そこで離散の外力を定義し,それを用いて「離散Lagrange-d'Alembertの原理」を導出し,外力が存在する場合にも離散力学の理論を拡張することができた. (2)分布定数系の重要な物理例の一つである「弦」のモデルを離散力学によって構築し,その理論解析を行った.特に,von Nuemannの安定性解析によって,システムが数値的に安定となるためのパラメータ条件を導出することができた.この条件によって,システムが安定となる時間・空間のサンプリング間隔を決定することが可能となる. (3)計算機を用いて,様々な初期条件・境界条件・外力のパターンで弦のモデルに対して数値シミュレーションを行った.その結果,通常の連続時間の弦と同じような振る舞いが観測でき,提案手法の妥当性が確認できた. 以上のような研究結果によって,離散力学の基礎理論構築が進められ,さらに数値シミュレーションによって,その有用性が実証できたといえる.本年度での研究成果は,国際学会・国内学会での発表,さらに雑誌論文への投稿を計画している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度では,離散力学の基礎理論構築と数値シミュレーションによる検証を目的に研究活動を行ってきたが,当初の計画通りにおおむね順調に進展しているといえる.その理由としては以下が挙げられる. (1)現実に近いモデルを導出するためには外力を実現することが必要不可欠であるが,離散外力を適切に定義することにより,離散Lagrange-d'Alembertの原理を通常の拡張版として導出することができた. (2)外力が無い場合に比べて,外力が存在する場合の運動方程式は複雑になることが予想されるが,離散Lagrange-d'Alembertの原理をもちいることによって効率的に変分計算ができ,外力を運動方程式に簡単に加えることが可能となった. (3)様々な条件で数値シミュレーションを行ったが,通常の連続時間のモデルの振る舞いを表現することができた.さらに,von Nuemannの安定性条件を用いることによって,数値的に安定なサンプリング間隔を簡単に設定できることも大きな成果であるといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の平成26年度は本研究課題の最終年度である為,離散力学に関するある一定の研究成果を導出し,まとめる計画である. 具体的には,制御入力を加えた離散Euler-Lagrange方程式に対して,ある評価関数を設定し,その評価関数を初期条件・境界条件の下で最小化するような非線形最適化問題を導出する.その最適化問題の解として離散制御入力が得られるが,それを連続化し,最終的には元の連続時間分布定数系を制御することを目標としている. さらに,数値シミュレーションや実機実験によって,提案手法の有効性や応用可能性を検証する計画である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
申請時に計画していた平成25年度の旅費額をあまり使用しなかった為.また,平成25年度に数値シミュレーション用計算機・実験装置・実験用計算機などの購入を計画していたが,研究計画を変更して平成26年度に移行させた為. 平成26年度では,本研究課題の成果報告として国際学会・国内学会への参加,雑誌論文への投稿に関する予算の使用を考えている.さらにまた,数値シミュレーション用計算機・実験装置・実験用計算機などの購入を行い,提案手法の検証を行う計画である.
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