2012 Fiscal Year Research-status Report
寒冷地におけるコンクリート構造物の塩害に対する照査基準の提案
Project/Area Number |
24760345
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
橋本 勝文 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30609748)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | コンクリート構造物 / 耐久性設計 / 維持管理 / 積雪寒冷地 / 凍害 / 塩害 |
Research Abstract |
寒冷地におけるコンクリート構造物の塩害に対する根拠の希薄な現行耐久設計および維持管理体系を見直すための成果を上げる.そのために,複数の異なる材料から構成されるコンクリートに対し,スケールの異なる材料領域に着目してコンクリート中の鋼材発錆原理を解明することにより,凍結と融解を繰返し受ける寒冷地のコンクリート中鋼材の腐食発錆に対する塩化物イオンの限界濃度と規制の在り方を提案することを目的としている.そのために,凍害を受けるコンクリート中の鋼材腐食に対するCl-の限界濃度と規制の在り方について考察し,寒冷地におけるコンクリート構造物の適切な耐久設計および維持管理体系を提案するため,本申請による研究期間内に1)凍結融解作用下におけるCl-固定化現象のモデル化,2)凍結融解作用下での鉄筋コンクリート供試体を用いた発錆試験によるClimの実験的算定値, 3)実験的に算定されたClimとの整合性評価に基づく構築したCl-固定化モデルの妥当性,および4)Cl-固定化モデルおよび発錆メカニズムに基づいた適切な照査および材料選定方法について明らかとする.特に、平成24年度においては、①セメントペースト,モルタルおよびコンクリートの塩水浸漬および凍結融解試験の実施し,②所定の試験期間終了後,各Cl-量の測定およびCl-固定化モデルを検討し,さらに③かぶりを連続的に変化させた鉄筋コンクリート供試体を作製し,発錆試験を開始した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初には,平成24年度内に鉄筋コンクリート供試体を作製し,塩水浸漬試験および凍結融解試験で発錆試験を開始し,平成25年度以降,鋼材あるいは分割鉄筋を斜めに配置し「かぶり」を連続的に変化させることで発錆開始時期に依存しないClimの実験的算定方法および分割鉄筋を用いた腐食速度解析を行う予定であったが,平成24年内に上述の一連の実験に着手しており,すでに結果を得つつある.また,平成24年度内の実験により得られた成果について,本研究の目的の一部である,材料領域により異なるスケールでコンクリートを捉える多次元的評価手法に基づいた劣化メカニズムの解明に関してられた知見を取り纏めた結果を既に複数の学術論文を投稿している.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度内の研究の進捗状況は予定よりも進んでおり,詳細な検討を進められている.すなわち,平成25年度以降に実施予定であった実験的に算定されたClimに対するCl-固定化モデルに基づく発錆開始Cl-量の比較および考察を既に開始しており,これまでに得られた全Cl-,固定Cl-,自由Cl-量およびEPMA法により得られる全Cl-量分布曲線と目視で確認される腐食長および発錆の先端位置におけるかぶり深さCfから算定されるClimを基に,構築するCl-固定化モデルから得られる全Cl-,固定Cl-および自由Cl-量の相互作用関係を比較整理する.特に,使用材料および配合がCl-量の相互作用関係に及ぼす影響について考察する.さらに,寒冷地におけるコンクリート構造物の塩害に対する適切な材料選定方法および照査の提案について,今後のコンクリート構造物の部材レベルの結果に基づき,凍結融解作用を受けるコンクリート中の鋼材発錆原理に基づいたコンクリート構造物の適切な耐久性設計(特に,材料選定)・維持管理(点検・照査)基準の構築を目指す.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画を遂行するため,分析用使用の作製および試薬の購入に使用する.また,予定している研究成果を公表するための学会参加費および学会誌投稿料として使用する.なお、平成24年度に発生した未使用額は、試験体作製時の最適な試験体寸法を勘案した結果、年度内の試験体作製に必要な材料の購入に減額が生じたためであり、平成25年度以降に実施予定の試験体作製のための材料費とする.
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Research Products
(3 results)