2013 Fiscal Year Research-status Report
寒冷地におけるコンクリート構造物の塩害に対する照査基準の提案
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24760345
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
橋本 勝文 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30609748)
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Keywords | コンクリート構造物 / 耐久性設計 / 積雪寒冷地 / 凍害 / 塩害 / 維持管理 / 照査基準 |
Research Abstract |
平成25年度に計画していた「凍結融解環境下・20℃環境下での発錆試験の実施による腐食性状およびCl-量分布の測定」および「使用材料および配合が発錆位置とCl-量分布の関係に及ぼす影響の比較整理および考察」に関する検討を行った。特に,Cl-量分布の測定については,凍結融解作用を受けるモルタルに対して,方向によって浸透状況の異なる塩化物イオンの浸透性状をEPMAにより実験的に把握した.また,実験から得られた塩化物イオンの濃度分布から,凍害を受けるモルタルへの塩化物イオン浸透に関する二次元的な計算を行うことで,凍害環境下における塩化物イオン浸透性状を評価した.また,凍害および塩害の複合劣化を受けるコンクリートの塩化物イオン浸透性状が鉄筋腐食に与える影響に関する知見を得ることを目的とした検討を行い,凍結融解作用を受けたコンクリートへの塩化物イオンの浸透は表面に近いところで留まりやすいこと,およびコンクリート表面が結氷する場合における限界塩化物イオン量は,結氷しない場合の約0.9倍の値で設定する必要があることを明らかとした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画においては,平成26年度内に「寒冷地におけるコンクリート構造物の適切な設計・維持管理基準の構築および提案」に関する知見を取り纏めることとしていたが,平成25年度終了時点において,寒冷地において提案することで,凍害および塩害の複合劣化をうけるコンクリート構造物の照査基準として新たな提案の一部を示すことができている。すなわち,凍害環境下においては,鉄筋の腐食発生の加速を安全側に見積もるため,腐食発生限界塩化物イオンの照査基準について,根拠のない数値が推奨されていたのに対し,本研究では,実際の構造物・環境条件,すなわち,桁上部での劣化が著しく,桁の上面においては,排水溝などを伝って溜まった凍結防止剤の溶液による凍害と塩害の複合劣化を受け,側面では,上面から流れ落ちた溶液による塩害を主に受けることを考慮した上で,コンクリート表面が結氷する場合における腐食発生限界塩化物イオン濃度について定量的な値を既に示している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画は予定の達成度を満足しているが,これまでに得られた実験結果の比較および考察を進めることで,平成26年度に予定していた,材料の条件が鉄筋の腐食に及ぼすCl-量の相互作用関係に及ぼす影響について考察する.さらに,実験計画が予定よりも進んでおり,最終的に結論付けることを計画していた「寒冷地におけるコンクリート構造物の塩害に対する適切な材料選定方法および照査の提案」について,さらに環境条件として,コンクリート表面の塩化物イオン濃度の違いを実験的に把握するための実験結果を取得して,上記の考察に加える。これにより,以上の結果に基づき,計画通りに最終年度には,凍結融解作用を受けるコンクリート中の鋼材発錆原理に基づいたコンクリート構造物の適切な耐久性設計(特に,材料選定)・維持管理(点検・照査)基準の構築を目指す.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
分析用薬品および消耗備品が充足したため。 計画に基づく分析を進めるための薬品購入に充てる。
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Research Products
(4 results)