2012 Fiscal Year Research-status Report
性能劣化に基づくコンクリート製下水道管渠の維持管理システムの構築に関する研究
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24760350
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山本 大介 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 技術専門職員 (40398095)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 下水管渠 / 硫酸劣化 / LCC / 劣化グレーディング / 予防保全的管理 |
Research Abstract |
下水道管理事業において将来の財源難が予測される中,予定供用期間50年を超過する老朽既設下水管路が2020年頃を境に全国的に急増する見通しである。また,下水道管渠の硫酸劣化が問題となっており,供用後早期に劣化し補修・更新すべき下水道管渠も多数報告されている。以上より,今後の下水道管路運営には維持管理費用の平準化,LCCの最適化が重要であり,予防保全的管理を推進する技術の提案が不可欠である。 従来の劣化調査では劣化状態の区分化が行われるが,目視判定に基づくため,残存性能に即した判定を行うのが困難な状況にある。以上の背景から,材料劣化に基づいた残存耐力評価を加味した下水管路の効率的な管理システムの構築が急務にある。 平成24年度は,下水道管渠の残存曲げ耐力が管渠上部の残存健全厚さから予測可能であるとする既往の研究成果を基に,下水道管渠の環境による劣化速度の明確化と,埋設状態の下水道管渠を対象とした微破壊による劣化診断方法を検討した。また,これまでの研究成果と既往の文献等の整理により,下水道管渠の残存性能に基づく劣化のグレーディング化と、グレーディングに基づく適切な補修法の選択方法の提案を行った。以上より、従来の人的判断により差が生じる目視判定に基づく下水管路診断法よりも正確な,残存耐力評価を加味した材料劣化に基づく下水管路の診断方法を提案できた。 また,H24年度後半より、下水道台帳などの地方自治体が所有する既存のデータベースとリンクしうる一連の管理システムを構築するため,実環境で劣化した下水道管渠のデータを収集している。これらの劣化データを地図上に書き込み、将来的に下水道が劣化しやすい環境を推測できるようなデータベースを作成することを開始した。H24年度ではデータをまとめきる事ができなかったので、H25年度は引き続きデータの取りまとめを行なっていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の目的は、管路の硫酸劣化危険地域の区分や補修工法について整理し,劣化状態に応じた管路の劣化グレーディング,およびメンテナンスフローの構築を行い,下水道事業のLCCを低減させるための技術提案を行うことである。また、交付申請書には、H24年度の達成目標は、(1)実環境下による劣化診断法の適用性の検証と(2) 供用環境と劣化グレーディングの整理、としていた。 これら(1),(2)は達成することができ、現在は(3)腐食機構の整理と供用環境による劣化速度の危険度の区分化、に取り組んでいる。 当初の計画の通り研究が進んでいることから、自己点検で上記の評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
H24年度では、下水道管渠の残存性能に基づく劣化のグレーディング化と、グレーディングに基づく適切な補修法の選択方法の提案を行った。H25年度は、下水管渠の劣化予測をより現実的に即したものとする。腐食機構の整理と供用環境による劣化速度の危険度の区分化を目的として、現地調査結果を整理し,下水道管路での管渠の環境による劣化速度を区分化する。それと同時に、現在各自治体で作成されている下水道台帳データベースとリンクさせうる区分化を目指し,どのような特徴を持つ区域を重点的に点検すべきかを提案し,維持管理のための点検作業の効率化を目指す。 下水道管路の経年劣化は,日本全国の全ての市町村で社会問題化しており,全ての下水管路を劣化調査することは現実的に不可能である。その為,劣化が著しいと予測される供用環境条件を抽出し,管路の重要度を考慮した上で更新または補修作業に優先順位を設け,単年度当たりの維持管理コストの平準化を可能とすることを目指す。 そのため、実劣化データより管路の劣化しやすい環境の抽出を行い,環境要因を基に劣化速度を判定し,劣化速度による危険度の区分化による維持管理法の提案を行う。 これらの結果を取りまとめ、H25年度末には、ライフサイクルマネジメントに立脚したメンテナンスフローを作成する。なお,下水道管渠の補修分野では様々な補修工法が提案されている。現状は,残存耐力や余寿命に基づき,下水道管渠の劣化状態を定量的に示す指標がないため,補修工法の選定はTVカメラや目視調査に基づく診断結果から決定されている。様々な補修管の諸性能(曲げ強度・耐久性・止水効果など)より補修効果を確認し,劣化状態に則した補修・補強を選定できるような体系作りを行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(1 results)