2012 Fiscal Year Research-status Report
FRP板を用いたRC構造物の水中接着補強に関する接着性能向上法に関する研究
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24760356
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
栗橋 祐介 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (30414189)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 水中構造物 / 補修・補強 / FRP / 水中硬化型接着樹脂 / RC梁 / せん断キー / 静載荷実験 / ピーリング作用 |
Research Abstract |
河川橋脚等の水中構造物を補修・補強する場合には,構造物周辺に仮締切を構築し,施工部を予め乾燥状態にする必要がある.従って,水中構造物の耐震補強工事は陸上での補強工事に比較して膨大なコストが必要となる. そのため申請者らは,仮締切が不要で,水中での施工が可能なFRP シートにエポキシ系樹脂を含浸硬化したAFRP板を水中接着樹脂を用いて水中接着補強する工法を考案した.既往の研究では,提案の水中接着工法を用いて曲げ補強したRC 梁の静載荷実験を行っており,提案工法により RC 梁の曲げ耐力を向上可能であるものの,その補強効果は気中接着補強の場合よりも劣ることが明らかになっている. そこで,申請者らは,水中接着補強工法における接着性能改善策の提案を目的として,せん断キーを設ける力学的手法に着目し,提案工法の補強効果に及ぼすせん断キーの有無およびその配置間隔の影響を実験的に検討した.実験は,形状寸法が異なる 2 種類の RC 梁を対象とした4点曲げ載荷実験により行った. その結果,1) コンクリート表面にせん断キーを配置することにより,コンクリートと水中硬化型接着樹脂の付着性能は改善されること,2) せん断キーを配置しない場合にはコンクリートと水中接着樹脂との界面で剥離するのに対して,せん断キーを配置する場合には水中接着樹脂とAFRP 板との界面に剥離が移行すること,3)この剥離は上縁コンクリートの圧壊後に生じることや,断面寸法によらずせん断キー配置間隔比 (せん断キー配置間隔/有効高さ) を 0.75 程度にすることにより,曲げ補強効果が大きくなる傾向にあることなどを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初は,せん断キー配置による AFRP 板の付着性能向上効果や RC 梁の曲げ耐力向上効果を検討することを目標をしていた.しかしながら,研究計画を精査した結果,本研究課題において提案工法の有効性を定量的に明らかにするためには,梁の形状寸法が異なる場合の検討も必要であるものと考えた.従って,平成24年度の研究では,形状寸法が異なる2種類の AFRP 板水中接着曲げ補強 RC 梁に対して,その曲げ耐荷性能に及ぼすせん断キー配置間隔の影響を検討した. その結果,RC 梁の形状寸法によらず,せん断キーを適切な間隔で配置することによって,AFRP 板とコンクリート表面の付着性能が向上することを明らかにした.ただし,せん断キー配置間隔が小さい場合には,付着性能を低下させる可能性があることも明らかにした.これは,せん断キー配置位置においてコンクリートにひび割れが発生し,それに伴って水中接着樹脂にもひび割れが発生するため,配置間隔が小さい場合にはひび割れ発生間隔も小さくなるため,結果として,水中接着樹脂層が著しく損傷し AFRP 板の剥離に至るためである. 平成24年度の研究の範囲内においては,種々の断面に対応した適切なせん断キー配置間隔を提案するため,せん断キー配置間隔を断面有効高さで除したせん断キー配置間隔比 Rs を用いて検討した.その結果,Rs = 0.75 程度において,AFRP 板水中接着曲げ補強の効果が最も大きく発揮されることが明らかになった.ただし,Rs が 0.75 よりも大きい場合については検討していないことより,今後検討する必要がある. 以上のように,平成24年度の研究では,当初計画よりも,多くの有益な知見が得られていることから,達成度は「当初の計画以上に進展している」と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,交付申請時の研究計画どおり,せん断キー配置間隔や深さをパラメータに取った検討を行う.ただし,せん断キー配置間隔については,平成24年度の研究成果を参考にして,せん断キー配置間隔比 Rs = 0.75 を基準としてパラメータを設定する. また,提案の AFRP 板水中接着曲げ補強工法の汎用性向上のためには,RC 梁の断面耐力や曲げ剛性および曲率が異なる場合についても検討する必要があるものと考えられる.従って,AFRP 板補強量や RC 梁や主鉄筋比をパラメータとした検討も行う. こららの研究成果を過去の研究成果も含める形で整理し,種々の断面や補強量に対応した適切なせん断キー配置間隔を提案する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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