2012 Fiscal Year Research-status Report
組積造の地震時破壊挙動の数値解析手法の開発と耐震補強法の提案
Project/Area Number |
24760362
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
古川 愛子 京都大学, その他の研究科, 准教授 (00380585)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 組積造 / 個別要素法 / 地震時破壊挙動 |
Research Abstract |
レンガや石材などを積み上げて建設する組積造は,地震の揺れに対して非常に脆弱であるにも関わらず,地震の多発地帯に多く建設されている.これらの組積造は,地域で調達できる材料を使い居住者自身によって建設されるなど,工学的な配慮がほとんどなされていない.工学的な配慮を施した耐震補強法を開発することにより,地震による建物被害を軽減することが重要であると考えられる. 耐震補強法の確立のためには,実験と数値解析の両面からの検討が重要であると考えるが,数値解析による検討は未だ手つかずのままである.なぜなら,現状では,組積造に適した,弾性挙動から破壊後の崩壊挙動までを追える数値解析手法が確立されていないためである.個別要素法は,構造物を剛体要素の集合体としてモデル化し,要素同士をばねとダッシュポットでつなぐことによって,連続体としての挙動を疑似的に表現する.破壊の発生は,要素間のばねとダッシュポットを切断することによって表現する.このように,個別要素法は,弾性挙動から,破壊の発生,そして破壊後の挙動までを取り込むことが出来,組積造に適した数値解析手法となる可能性を有している.しかしながら,要素同士を繋ぐばねのばね定数の決定や,ポアソン効果を表現性などの点で課題があり,数値解析手法としては未成熟である. 以上の問題点を解決するため,個別要素法の改良を行った.要素を2分し,要素の周面部分を接触を考慮する領域とし,接触を表すばねを導入し,ばね定数を応力-ひずみ関係から決定する式を提案した.要素の内側を要素変形を考慮する領域とし,有限要素法の剛性行列を導入した.以上の理論をプログラムに実装したところ,弾性領域は有限要素法による解析結果とほぼ一致し,ポアソン効果も表現することができた.要素変形を考慮に入れた場合は考慮しない場合に比べて,破壊時間が遅くなったが破壊モードに違いは確認できなかった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画した内容に基づいて,要素変形を考慮できるように個別要素法を改良し,プログラムを実装することができた.しかし,改良手法では,計算時間間隔を非常に細かく設定する必要が生じ,また計算が不安定であるため,小さな壁モデルの解析を行うにとどまっている.建物レベルの解析が行えるよう,手法に改良を施したいと考えている.
|
Strategy for Future Research Activity |
現状では小さな壁モデルの解析しか行えていないので,プログラムの並列化により,より大きな建物モデルの解析を行えるようにしたい.建物モデルの解析を通して,要素変形のモデル化の影響などを詳細に検討したい.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
|