2013 Fiscal Year Research-status Report
組積造の地震時破壊挙動の数値解析手法の開発と耐震補強法の提案
Project/Area Number |
24760362
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
古川 愛子 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (00380585)
|
Keywords | 組積造 / 個別要素法 / 地震時破壊挙動 |
Research Abstract |
レンガや石材などを積み上げて建設する組積造は,地震の揺れに対して非常に脆弱であるにも関わらず,地震の多発地帯に多く建設されている.これらの組積造は,地域で調達できる材料を使い居住者自身によって建設されるなど,工学的な配慮がほとんどなされて いない.工学的な配慮を施した耐震補強法を開発することにより,地震による建物被害を軽減することが重要であると考えられる. 耐震補強法の確立のためには,実験と数値解析の両面からの検討が重要であると考えるが,数値解析による検討は未だ手つかずのままである.なぜなら,現状では,組積造に適した,弾性挙動から破壊後の崩壊挙動までを追える数値解析手法が確立されていないため である.個別要素法は,構造物を剛体要素の集合体としてモデル化し,要素同士をばねとダッシュポットでつなぐことによって,連続体としての挙動を疑似的に表現する.破壊の発生は,要素間のばねとダッシュポットを切断することによって表現する.このように, 個別要素法は,弾性挙動から,破壊の発生,そして破壊後の挙動までを取り込むことが出来,組積造に適した数値解析手法となる可能性を有している.しかしながら,要素同士を繋ぐばねのばね定数の決定や,ポアソン効果を表現性,減衰のモデル化などの点で課題があり,数値解析手法としては未成熟である. H25年度は,個別要素法を用いた破壊解析に適した減衰モデルについて検討を行った.要素重心に作用する減衰モデルと要素間に作用する減衰モデルの2通りの減衰モデルを考えた.前者の要素重心に作用する減衰モデルには,質量比例型減衰とローカルダンピングの2通り,後者の要素間に作用する減衰モデルには,臨界減衰と瞬間剛性比例型減衰の2通りを考えた.これらを組み合わせた時の解析結果を比較することによって,各減衰モデルが持つ特徴を明らかにし,個別要素解析における減衰モデルの選択について知見を整理した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画した内容に基づいて,様々な減衰モデルを扱えるように個別要素法を改良し,プログラムを実装することができた.解析結果は,減衰だけでなくばねのモデル化の影響も強く受けるので,破壊に伴うばねのモデル化についても注意を払う必要のあることが課題となった.
|
Strategy for Future Research Activity |
実際の組積造の挙動を調べ,それを再現可能なモデルへと改良する.開発したプログラムを用いて,組積造の補強方法について検討する.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初は,高性能パソコンで大規模なモデルの解析を実施することを予定していたが,現象が複雑なため,大規模なモデルでは現象を解明することが困難であったことから,小規模な単純なモデルの解析を中心に行ったため,解析パソコンの購入を次年度に繰り越すこととした. 小規模モデルでミクロな現象の解明を試みるとともに,高性能パソコンを用いてより大きな規模のモデルを解くことで,マクロな現象を分析していく予定である.
|