2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24760363
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
鍬田 泰子 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50379335)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 管路 / 地震応答 / 被害 / 解析 |
Research Abstract |
本研究では,東日本大震災における大口径管路の被害事例の中で,地中構造物周辺の伸縮可とう継手を有する管路と水管橋の管路被害を対象にして,構造物と周辺地盤の現地調査と数値解析を通して被害メカニズムを明らかにしてきた. 研究初年度(平成24年度)は,東北地方太平洋沖地震による大口径管路の地震被害の全容を把握するため,被害調査を優先して実施した.大口径管路に着目すれば,当初の計画に挙げていた管路が本震災でも大きいことを確認した.また,液状化によって口径500mm以上の管路の継手が抜けていることが分かった. 大口径水管橋については,3次元FEMで構造物のモデル化を行い,微動探査で得られた構造物の固有周期,減衰定数と比較しながら橋梁の解析モデルのキャリブレーションを行った.微動観測の結果から確認できる低次の固有振動数については解析モデルと整合することを確認した.また,水管橋から最寄りの地震観測点まで10km近く離れているため,余震記録を利用して水管橋での地震動を推定し,河川堤内,堤外地での地震動入力の違いによる水管橋の地震応答への影響を明らかにした.この推定地震動を用いて,水管橋の応答解析を行ったところ,斜張橋の両側に単純トラス橋が連結した水管橋において被害実態の同様に斜張橋の支承耐力を超えて支承が損傷することを再現することができた.想定地震動は短周期成分を多く含む地震動であるが,水管橋の1次の固有振動数では設計入力レベルを超えるものではなかったため,水管橋の挙動と支承の損傷プロセスについて考察を行った.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
被災調査における管路被害に関する資料収集については,管理している事業体から資料提供などの協力を得ることができ,順調に研究を進めることができた. 研究協力者の貢献が大きく推定地震動を得ることができたため,水管橋の微動観測,モデル化,応答解析までの研究過程において,年度計画に掲げたことは実施することができ,東北地方太平洋沖地震時の水管橋の地震応答について一定の理解をすることができた.
|
Strategy for Future Research Activity |
H24年度の水管橋の地震応答解析では,約500m離れた橋脚に推定地震動一波を同時入力した場合の挙動を確認したが,橋脚の基礎は堤内・堤外ともにあるため位相差の影響が少なくともある.今年の研究では,地震動の位相差の影響や,支承のモデル化などを検討していく.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
水管橋の地震応答解析をH24年度に引き続いて実施するため,昨年度まで年間レンタルしていた構造解析用の汎用プログラムをH25年度には購入する(アカデミックライセンスで64万円).
|