2012 Fiscal Year Research-status Report
海岸保全施設の信頼性確保に向けた土木三力連成シミュレータの基盤構築
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24760365
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
浅井 光輝 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90411230)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 津波被害シミュレーション / 粒子法 / 流体‐構造連成解析 |
Research Abstract |
2011年東北地方太平洋沖地震での津波被害により,橋梁・堤防などの多くの土木構造物が崩壊した.土木構造物の被害は,地盤の洗掘,流体力による構造物の崩壊,漂流物による流体力の増大化などが複雑に関連した複合災害であることから,構造物‐地盤-水理といった土木分野の3つの力学の連成挙動が解析可能なシミュレータの開発を試みた. 目的のためには3次元自由表面流れを解析するだけでなく,将来的には構造物の挙動,および地盤の流動化現象までを同じ解析手法で取り扱うことを想定していることから,解析手法には粒子法(SPH法)を選択し,連成解析に向けた基礎解析技術の開発を行った. 2012年度は,主に粒子法による流体力評価の精度検証とその改善と粒子法による地盤洗掘現象の定性的な表現方法の確立の2点を行い,以下のような成果が得られた. まず,流体力評価の精度検証としては,津波流体力評価を想定した小型実験結果を例題として取り上げ,数値解析結果と実験結果との比較を行った.この際,固体境界面の取り扱い方法に改良法を提案することで,実験結果と良好な一致が得られた.この研究内容は現在,日本計算工学論文集へと投稿中である. また,同手法を用いた地盤洗掘問題への適用性の検討においては,地盤をビンガム流体としてモデル化し,さらに地盤と流体部の境界に遷移層を設けることで安定した連成解析が可能となった.まだ精度面では改善の余地が残されており,現在も改良中である. 以上,当初の予定通り研究は順調に進められており,2013年度には,構造物との連成を行うことで,土木三力連成解析の基礎を構築する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
土木三力(構造-地盤-水理)が連成する問題を数値解析するために,粒子法を選択し,各種力学問題に適した解析技術を開発した.当初の予定通り,流体から構造物へ与える外力評価の精度検証と,地盤‐水理の連成挙動である地盤洗掘シミュレーションを実施し,それぞれに対して成果が上げられた.あとは,構造問題とほかの2つの力学の連成を完成させれば,最終目標が達成できる.
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Strategy for Future Research Activity |
構造解析をFEM,流体問題を粒子法で解析する流体‐構造連成解析技術については既に確立済みであり,まずはこの解析ツールを3次元化することで,構造物との連成挙動の解析を可能とする. その後,構造物が崩壊し,複数のパーツへと分離する挙動までを解析するために,構造物まで粒子法でモデル化し,崩壊するまでの過程の解析を試みる. 以上の両者の可能性を残しながら,目的により適した解析技術を選択し,最終目標である土木三力の連成挙動解析を実現していく.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費:50万円(大規模可視化用ワークステーション) 旅費:60万円(ドイツ,アメリカへの国際会議へ参加) その他:10万円(論文投稿料,報告書印刷費) 計:120万円
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Research Products
(6 results)