2012 Fiscal Year Research-status Report
複合劣化が生じたRC部材への補修補強における震災後の修復性を考慮した耐久性評価
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24760367
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
子田 康弘 日本大学, 工学部, 准教授 (40328696)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 凍結環境 / 連続繊維シート / 曲げ補強効果 / RC部材 |
Research Abstract |
RC部材における複合劣化は,水の影響や温度環境の影響を大きく受ける.すなわち,任意の温度条件下におけるRC部材の静的耐力や疲労耐久性を評価する研究は,コンクリートの材料特性と構造性能を関連付ける上で極めて重要である.一方,この種の研究は要素実験,あるいは解析では進められているが,部材レベルでの実験は,環境試験装置内のスペースと載荷試験装置のスケールとの関係で実現してこなかったのが現状である.そこで本研究課題では,研究目的を達成するために,任意の温度環境下で静的荷重と疲労荷重が載荷可能な万能載荷試験装置を開発した.これにより,これまで実験的検討が困難であった1)凍結環境にあるRC部材の静的耐力や疲労耐久性,2)コンクリートに対し線膨脹係数が異なる材料による補修補強効果,さらには3)凍結融解作用と疲労作用による複合劣化などの解明が可能になった.当該年度では,劣化したRC部材の修復性を評価するために,上述の1)と2)に着目し,環境温度と炭素繊維シートによる補強の有無に着目したRCはり部材の静的曲げ耐荷特性に関する検討を行った. その結果,静的載荷試験によるRC部材の曲げ耐荷挙動は,既往の研究とほぼ同等の結果が得られ,本載荷試験装置の性能を確認することができた.また,大型環境試験装置内に設置することにより,任意の温度条件下におけるRC部材の静的載荷試験が可能になり,疲労載荷試験とともに低温環境下における凍結の影響や材料物性がRC部材の耐荷挙動に及ぼす影響を評価できることが確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
任意の温度環境下で静的荷重と疲労荷重が載荷可能な万能載荷試験装置の開発とこの装置による試験機の性能評価を行った結果,当初の計画通りの性能を試験機が有することが確認された.また,今年度使用する供試体のスペックも昨年度の研究を踏まえ,概ね順調に作製計画と設計が進んでいる.よって,今年度計画にある炭素繊維シート補強したRC部材の凍結状態における載荷による損傷状態より,修復性を明らかにして複合劣化における耐久性を評価することが可能と考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の遂行に際しては,研究期間において随時,研究協力者(日本大学・教授・岩城一郎博士)と議論し,次の段階の研究を実施する. また,申請者は,土木学会の維持管理に関連する347委員会およびH209委員会に参加しており,委員会において研究状況を紹介し,その中での議論や,関連する研究者の研究成果といった最新の研究動向を本研究課題に反映させる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験計測のためのひずみゲージの購入や載荷に必要な架台(H鋼)など購入と,研究成果の発表のための旅費を主な使用目的と考えている.
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