2013 Fiscal Year Annual Research Report
複合劣化が生じたRC部材への補修補強における震災後の修復性を考慮した耐久性評価
Project/Area Number |
24760367
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
子田 康弘 日本大学, 工学部, 准教授 (40328696)
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Keywords | 補修補強 / 環境温度 / コンクリートの耐疲労性 / 含水状態 |
Research Abstract |
鉄筋コンクリート部材の補修補強効果の評価には,通常の使用状態における疲労耐久性の評価も重要と考えられる.既往の研究より,コンクリートの耐疲労性は,雨水などの侵入による含水状態により大きく異なる.例えば水中にある鉄筋コンクリート部材における耐疲労性は気中で乾燥状態のそれよりも低下する.また,コンクリートの圧縮強度は,氷点下の環境などでは強度が増加すると言われている.しかし,低温環境下においてコンクリートに含まれる水が凍結した状態におけるコンクリートの耐疲労性は,不明な点が多い.平成25年度は,環境温度とコンクリート中の含水状態に着目した円柱供試体による疲労試験を実施し,コンクリートの耐疲労性を実験的に検討した.その結果,本実験の範囲内では,静的圧縮強度は,乾燥が進むにつれた含水率の低下に伴い常温は増加傾向を,低温は減少傾向を示し,既往の見解と一致した.これに対して耐疲労性は,常温では飽水状態,低温では含水率が比較的高い状態と飽水状態で耐疲労性の低下が示され,特に低温においては急激に疲労破壊へと至る傾向が確認された.すなわち,平常時においては,材料劣化を誘引する水の侵入を防止することが材料劣化の進行を遅らせるとともに,コンクリートの耐疲労性の低下を防ぐ可能性が示唆された. 本研究課題より,静的載荷試験によるRC部材の曲げ耐荷挙動は,既往の研究とほぼ同等の結果が得られ,載荷試験装置の性能を確認することができた.また,常温と低温という温度環境は,静的載荷によるRCはりとシート補強RCはりの曲げ耐荷挙動に対して明確な違いは認められず,低温環境に静置されたシート補強RCはりの静的耐力は常温環境と同程度の補強効果があると推察され,コンクリート中の水分が凍結した状態がRC部材の静的耐力と疲労耐久性に影響を及ぼす可能性が考えられた.
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