2013 Fiscal Year Research-status Report
谷埋め盛土造成地盤における地盤亀裂発生位置の予測手法の開発
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24760374
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
森 友宏 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40552394)
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Keywords | 造成宅地 / 地震防災 |
Research Abstract |
本研究における平成25年度の研究予定は,模型地盤振動実験を用いた地盤亀裂発生に関する各種要因の検討と,不飽和土の繰返し三軸試験による土のせん断強度を求めることであった。 これに対し,平成25年度には,多層色砂格子を用いた1G場における3次元模型地盤振動実験,および,2次元大型模型地盤振動実験を行い,境界条件の違いに応じて地盤内に発達するひずみの位置関係を観察した。その結果,盛土部分の変位は模型レベルの地下水位のわずかな変化でも大きな影響を受ける事が明らかとなった。また,基盤に近い盛土部分は,基盤との摩擦によって拘束されて変形が生じず,基盤からやや離れた部分において大きなせん断ひずみが観察された。せん断ひずみの大きい部分は盛土の深い領域には到達せず,盛土の浅い部分における地盤の乱れが顕著であり,それに伴い,地盤の鉛直ひずみも盛土表層部に集中した。また,3次元模型地盤振動実験からは,切盛境界付近の地盤の変形は,地盤亀裂の初期発生位置とその進展によって説明されそうであることが,実験結果の観察よりわかった。しかし,この結果によると,盛土内に存在する局所的な弱部が盛土の変形に大きな影響を与えるということとなり,将来的に,実際の造成宅地盛土における地震時の危険位置の予測を地図上から行う場合には大きな問題となる。このあたりの問題も考慮しつつ,最終年度の成果の取り纏めを行っていく。 また,地下水面以浅の不飽和領域の地盤中のサクション(負圧)を計測するための模型試験用小型サクション計を開発中である。一方,不飽和土の繰返し三軸試験装置の再構築を行い,予備実験を行って機器の較正を行った。 研究成果をまとめて,2編の研究発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね順調である。多層色砂格子を用いた1G場における3次元模型地盤振動実験は,3次元的に詳細なひずみデータが取れるものの,実験に手間がかかり実験数を多く取れなかったが,2次元大型模型土槽を用いることで作業が簡略化され,より多くの実験条件を変えた試験が行えるようになった。3次元実験と2次元実験をうまく組み合わせて,最適なデータ収集を行っていく。 不飽和三軸試験についてはやや遅れ気味であるが,平成26年度前半に試験データを収集できる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
当初,平成26年度に遠心力載荷模型地盤振動実験を予定していたが,これまでの実験結果より,模型土槽の壁面の影響が無視できないことが明らかとなっていることから,模型土槽のサイズに制限のかかる遠心力載荷模型地盤振動実験は中止することとした。その対価として,3次元模型地盤振動実験,2次元大型模型地盤振動実験の回数を増やし,パラメータスタディを十分に行うこととした。平成26年度前半に実施する不飽和三軸試験の結果とあわせて,早い段階で地盤亀裂発生に関する各種要因の検証を行い,平成26年度中盤以降は,必要に応じた追加実験を行う。 また,最終年度にあたり,研究成果を取り纏め,学会その他において成果の公表を行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度末までに納入されるはずであった,サクション計測用小型間隙水圧計が,メーカーの製作の遅れにより,平成26年度にずれ込んだため(平成26年4月16日納入済み)。 繰越し分の研究費は,これまでの試験結果により必要であると判断された,地下水位以浅の不飽和地盤のサクション計測に必要となるサクション計の製作・開発費に用いる予定である。納品がずれ込んでいた小型間隙水圧計は,平成26年4月16日に納入済みである。
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