2012 Fiscal Year Research-status Report
月面探査における地盤調査システムの開発と月・惑星地盤工学の創成
Project/Area Number |
24760376
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
小林 泰三 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10380578)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 月探査 / レゴリス / 掘削 / せん断試験 / 弾性波探査 / 地盤調査 |
Research Abstract |
「月面地盤工学」の創成・構築を目標に掲げ、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が準備を進めている次期月探査計画(SELENE-2 )への搭載候補機器として「月面地盤調査装置」の開発を行っている。この地盤調査装置は、月面に小径のボアホールを削孔し、その孔壁を利用して1) ボアホールカメラによる深度方向の土質・地質特性観察、2) 孔内水平載荷・せん断摩擦試験機による変形・強度特性計測、3)弾性波探査による地質構造調査を行うことのできる小型調査システムである。 当該研究期間には、同システムの要素技術となる1)削孔法、2)孔内水平載荷・せん断摩擦試験法、3)弾性波探査法の試験ツールの開発を行った。具体的には、 1)削孔法:直径やスパイラル形状の異なるオーガーを用いて月面模擬土を対象とした削孔実験を実施し、削孔反力やトルクに及ぼす回転数や削孔速度の影響を明らかにした。また、出来るだけ孔壁の乱れの少ない削孔を実現するために、薄肉ケーシングとオーガーを併用した削孔方法を開発した。 2)孔内水平載荷・せん断摩擦試験機:先行研究で試作した試験機(ゾンデ)を用いて、1)で削孔したボアホールを対象にせん断摩擦試験の実証実験を行った。ゾンデせん断面に作用する垂直応力を一定に保つためのフィードバック制御法等に改良点を残すものの、開発したゾンデによって地盤の強度定数(粘着力と内部摩擦角)の計測が可能であることを確認することができた。 3)弾性波探査法:ゾンデによって孔内で起振された弾性波を着陸船の着陸パッドによって受信するという弾性波探査法(RVSP法)の妥当性を検証するために、数値シミュレーションと簡単な模型実験を行った。その結果、スウィ-プ波の利用などソースシグナルを工夫することによって、4点(着陸船想定脚数)という限られた受信点数でもP波の直達波や反射波の検出が可能であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、月面地盤調査装置を構成する要素技術である削孔、孔内試験(水平載荷試験・せん断摩擦試験)、弾性波探査について、それぞれの試作モデルを完成させるとともに、その試験機能を模型実験等によって実証確認することができた。孔内試験ツールについては、軸対称変形場を実現するために全周型のゾンデを開発する予定であったが、予算の関係上、次年度の研究項目として進めていくことにした(開発はすでに進めている)。
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Strategy for Future Research Activity |
宇宙航空研究開発機構との打ち合わせの結果、次期月探査計画(SELENE-2)の開発進行スケジュールに鑑み、現時点では、地上の機能試験試作モデル(ツールの把持・交換機能を含むトータルシステム)の構築よりも各試験ツールの宇宙仕様化の技術到達度の向上を優先して進めるべきであるとの判断に至った。宇宙機器は、試作モデル、エンジニアリングモデル、熱・構造モデル、プロトフライトモデル等、多段階のモデル作製を経て打ち上げ機(フライトモデル)を完成させていくことになる。今後は、試験ツール(基本試験技術)に関して一段階高いレベルのエンジニアリングモデル作製を目指した研究開発を進めていきたい。ここでは、試験の機能実証試験に加え、振動・衝撃試験や熱真空試験など、宇宙機器としての品質保証にかかわる環境試験なども行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度には、予算2,100,000円のうち、孔内せん断試験ツール開発費として1,100,000円、試験ツール制御装置開発費として500,000円、各種環境試験のための冶具作製費として250,000円、打ち合わせや成果発表フィールド試験等の旅費として250,000円を計上している。
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Research Products
(5 results)