2013 Fiscal Year Research-status Report
封じ込め技術の信頼性向上に向けた、遮水壁の品質管理手法の開発と汎用性の向上
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24760379
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高井 敦史 京都大学, 地球環境学堂, 助教 (30598347)
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Keywords | 土壌地下水汚染 / 遮水工 / ベントナイト / 自己修復 / 地盤環境工学 / 移流拡散 / 透水係数 / 封じ込め |
Research Abstract |
土壌汚染や廃棄物が存在する土地を活用する際,有効な対策方法の一つとして「封じ込め工法」がある。これは当該範囲を遮水材で囲むことによって拡散を防止する技術であり,遮水性や均質性の担保,及び汚染物質の輸送挙動評価が肝要である。 平成25年度は,前者に関しては,特にソイルベントナイト遮水壁の自己修復性,及び粘土系遮水材の遮水性能評価を行った。その結果,ソイルベントナイトに損傷が発生した場合であっても,化学物質を含まない溶液が流入する条件でれば遮水性能を自己修復しうること,ジオシンセティッククレイライナーの遮水性能は不同沈下を受けた場合であっても高い遮水性能を発揮することが期待できること,等を明らかにした。特にソイルベントナイトの遮水性能は,サイトの地下水中に含まれる化学物質濃度によって大きく影響を受けることが知られているが,今年度実施した室内実験結果より,化学物質濃度が高く比較的透水係数が大きい場合であっても,ソイルベントナイトの自己修復特性により,健全な状態と同等の遮水性能を維持しうることが明らかとなった。 後者に関しては、地下水位変動条件下での非水溶性流体の挙動評価を行い,降雨条件が非水溶性流体に及ぼす影響を可視化した。一次元のカラム試験及び二次元の土槽試験から,汚染範囲の拡大を防止するためには,雨水浸透を抑制し,鉛直方向の移動を抑止するとともに,鉛直遮水壁により地下水による水平方向の物質輸送を抑止することが有効であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は主に,(1)亀裂等の損傷を受けたソイルベントナイトの自己修復性,(2)変形を受けた遮水材の遮水性能,(3)非水溶性物質の地盤中での挙動,を評価した。 (1)に関しては,比較的簡便な手法で定量的な評価を達成し,地盤中の化学物質濃度との関連性を精査した点で学術的意義が大きい。(2)については,前年度課題であった定量的評価を実現し,ソイルベントナイトのような柔軟性を有する材料であれば,変形を受けた場合であっても同等の遮水性能を維持しうることを示した点で実務への反映が期待できる。(3)のテーマは,工法選定に資する基礎データとして新たに検討した。これらにより封じ込め技術の有用性を様々な観点から検討しており,研究は順調に進捗していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は,特に拡散による物質輸送に着目し,実験的検討を行う予定である。遮水材に用いられる低透水性材料の場合,動水勾配に起因する移流による物質輸送が僅かであるため,濃度勾配に起因する拡散による物質輸送が無視できなくなる。ソイルベントナイト等の粘土鉱物を有する遮水材では吸着による濃度減衰も考えられることから,これらの現象を考慮した物質輸送の全体的なメカニズムを評価し,封じ込め技術の信頼性向上へつなげる。また掘削された土砂に含まれる汚染物質の適正な封じ込めを目的に,GCL等の粘土系遮水材へ検討対象を広げ,合理的な対策手法の推進を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の成果の一部は,既存の試験装置の応用・消耗品の転用で得ることができたため,少額ながら次年度への繰越金が発生した。 拡散輸送の評価を行うため新規に実験環境を配備する必要があることから,繰越額と次年度請求額とを併せ,計画的に整備する。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Hydraulic barrier performance of soil bentonite mixture cutoff wall2013
Author(s)
Takai, A., Inui, T., Katsumi, T.,, Kamon, M., and Araki, S.
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Journal Title
Coupled Phenomena in Environmental Geotechnics – From Theoreical and Experimental Research to Practical Applications
Volume: -
Pages: 707-714
Peer Reviewed
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[Journal Article] Effect of deformation on the hydraulic barrier performance of SBM cut-off wall2013
Author(s)
Tamura, N., Takai, A., Inui, T., Katsumi, T., Kurihara, F., Kamon, M., and Araki, S.
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Journal Title
Geo-Environmental Engineering 2013 - 12th Global Joint Seminar on Geo-Environmental Engineering
Volume: -
Pages: 198-203
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