2012 Fiscal Year Research-status Report
沿岸浅海域における高精度海洋環境シミュレータの開発
Project/Area Number |
24760398
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田井 明 九州大学, 高等研究院, 助教 (20585921)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 外洋潮汐 / 海面上昇 |
Research Abstract |
外洋潮汐の変化・変動についてはあまり研究が進んでおらずそのメカニズムなどは未解明である.そこで,本研究では,我が国周辺の外洋潮汐の変化・変動とそのメカニズムを明らかにするために,実測データの解析と数値シミュレーションを行った.本研究では, POMを用いた数値実験により,海面上昇に伴う我が国周辺の潮汐振幅の変化について調べた.計算は,対象領域(105°~165°E,10°~62°N)を0.1°間隔で601×521に分割しSatellite Geodesyから入手した水深データを与えて行った.本モデルは,実測データの解析結果やOgura(1933)に示されているような東シナ海の無潮点の位置を良好に表現していることを確認している.海面上昇が1m,5m起こった場合のシミュレーションを行い,水深の1%にも満たない1m,5mの海面上昇でもM2潮振幅に影響することが明らかとなった.また,台湾海峡や朝鮮半島西岸,東シナ海湾奥で増加することが分かった. 有明海の湾口である早崎瀬戸の流動構造は,潮汐振幅の変動や湾奥の干拓による入退潮量の変化や影響を強く受ける.本研究では,その流動構造や物質輸送特性を把握することで,湾奥の干拓が有明海へ与えた影響を調べた.早崎瀬戸において混合期に一潮汐間の現地観測を実施し,流動構造を明らかにする. 具体的に超音波ドップラー流速計ADCPによる流速観測,多項目水質計によるCTD観測を実施した.さらに,採水サンプルより栄養塩の分析を行い,藤原ら(1997)が大阪湾で示したような外海からの内湾への栄養塩負荷について有明海での検討を実施した.また,数値モデルにより湾奥の干拓の影響による流動特性の変化を解析した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,研究実績の概要で示したように,研究計画で予定したとおり現地観測や数値シミュレーションを実施していっており,おおむね順調に進展していると考えている.また,24年度に浅海域での現地観測を実施するために必要な流速(超音波ドップラー流速計),水位(圧力式水位計),乱流エネルギー散逸率(乱流微細構造観測プロファイラー),波高・波向(超音波式波高計),塩分・水温・濁度・溶存酸素濃度(多項目水質計)による計測方法も確立することができた.さらに,数値シミュレーションも25年度に向けてモデルの開発を順調に進めることが出来た.
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Strategy for Future Research Activity |
25年度は,24年度に得られた外海の潮汐や栄養塩といった境界条件をもとに数値シミュレーションを実施する.その際に新しい手法を用いた数値シミュレーションを実施することで,現象の高精度再現を試みる予定である.その際,観測データが不足した場合は現地観測を実施する予定である.26年度は,25年度までの成果を踏まえて研究計画を立てる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度は,今後の研究方針に示したようにモデリングが主体となる.そのためにポスドク研究員を雇用する予定である.
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Research Products
(4 results)