2014 Fiscal Year Annual Research Report
波浪海流結合モデルと合成開口レーダによる海洋流動場の定量的評価
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24760403
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
田村 仁 独立行政法人海洋研究開発機構, アプリケーションラボ, 研究員 (80419895)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 合成開口レーダ / 短波重力波 / 数値海洋波浪モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
合成開口レーダ(以下、SAR)は、マイクロ波を海面に放射し、反射される後方散乱強度を計測することで、直接的には波長数十cm程度の海表面の高波数スペクトル成分に関連する物理量を観測する。海上風や砕波によって生成された「さざ波」が、海面における流れの収束発散などの影響を受けることで空間密度に差異が生じ、そのエネルギー密度の高低でSAR画像に明暗が生じる。このためSAR画像輝度値には間接的に海面上の「風」「海洋波」「流動」などが映し出される。 より精度の高い海表面パラメータの推定には、実海域におけるさざ波の物理現象を解明し、SAR画像が直接観測する後方散乱強度との関連性を定量的に評価することが重要なポイントとなる。しかしながら、卓越する風波(波高:メートルオーダー)の上に乗る極微小のさざ波(波高:ミリメートルオーダー)を現場海域で直接観測することはきわめて困難であり、SAR 画像の工学的利用への大きな障壁となっている。 マイアミ大学を中心とする研究グループによって行われた現地観測データを用いて、高波数スペクトルエネルギー(波長50cm まで)の推定方法の確立に成功するとともに、短波重力波の力学バランスが波数帯によって異なることを発見した(Tamura et al, JGR-Oceans)。また新たなエネルギーソース項を数値海洋波浪モデルに導入することで、これまでは再現不可能であった高波数領域におけるスペクトル形状の定量的評価に成功した。特に風波スペクトルの飽和領域では海上風からのエネルギー入力とエネルギー消散項がバランスし平衡条件を満たすことが確認された。
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Research Products
(3 results)