2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24760406
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
金井 昌信 群馬大学, 理工学研究院, 准教授 (20375562)
|
Keywords | 地域防災計画・政策 / 津波避難 / 津波警報 / 避難情報 |
Research Abstract |
平成25年度については、前年度に引き続き、東日本大震災以後の津波に対する意識を把握するとともに、前年度の検討結果を踏まえて、今後の災害情報・避難情報のあり方を検討することを目的として、以下の2つの研究課題を行った。 (1) 住民の津波に対する意識(経年変化)の把握:前年度に実施したアンケート調査のうち、特に平成24年8月に公表された南海トラフの巨大地震の被害想定(新想定)の受け止め方についてさらに詳細な分析を行った。その結果、深刻な想定を突きつけられた地域の住民ほど、「想定通りの津波が襲来する」と思う傾向があり、その結果、新想定の公表が「備え」を促すよりも「避難をあきらめる」側に影響していることが明らかとなった。また、平成26年3月には、危機意識等の経年変化を把握するために、前年度と同様のアンケート調査を実施し、平成25年8月から運用が開始された特別警報に対する意識についても把握した。 (2) 平時における津波リスク情報の提供方法の検討:住民の新想定の捉え方を踏まえ、平常時における津波リスク情報の提示方法として、新たな津波ハザードマップを開発した。従来の津波ハザードマップは一つの想定に基づいた津波浸水高さを地図上に表現していた。これに対し、“これまでの想定”と“新たな想定”の2つの想定に基づく津波予想浸水高さを併記することで、「次の津波はどのような大きさになるのかはわからない」ことへの理解を促すものへと改良した。また、津波浸水高さだけでなく、津波到達時間を地図化することにより、地震発生から津波襲来までの限られた時間の中で、各住民が、到達可能なもっとも安全な場所を検討することができるような工夫を加えた。すなわち、津波リスクを提示するたけでなく、適切な避難行動を促すことを意図したものを検討した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初平成25年度に予定していた研究課題である(1) 住民の津波警報に対する意識(経年変化)の把握、(2) 平時における津波リスク情報の提供方法の検討は、ともに実施することができた。これらの詳細な成果のとりまとめ、および学会発表等については、平成26年度に行う予定である。しかし、(3) 住民の情報理解特性を踏まえた、津波警報・避難情報のあり方の検討については、(1)の成果より、(3)の検討のためには、(2)の詳細な検討が必要不可欠であることが確認されたため、十分な検討を行うことができなかった。なお、この研究課題については、平成26年度に行う予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度については、前年度に引き続き、津波に対する意識の経験変化を把握するとともに、前年度の検討結果を踏まえて、今後の災害情報・避難情報のあり方を検討することを目的として、以下の3つの研究課題を行う。 (1) 住民の津波警報に対する意識(経年変化)の把握:前年度に実施した調査結果について詳細な分析を行う。 (2) 新たな津波ハザードマップの避難促進効果の検討:平成25年度に検討した新たな津波ハザードマップの住民理解特性を把握することから、その避難促進効果について検証する。 (3) 住民の情報理解特性を踏まえた、津波警報・避難情報のあり方の検討:(2)による平時の情報提供効果の検討を踏まえ、いざというときに避難を促すための津波警報・避難情報のあり方を検討する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の科研費については、計画していた学会発表を見送ったため、学会参加費等および旅費を使用しなかったため、118、352円の残額が生じた。 残額については、情報収集や学会発表等の旅費および調査実施費としての使用を計画している。
|