2014 Fiscal Year Annual Research Report
地方都市のボトムアップ型都市形成―近代岐阜における「市区改正」の解明
Project/Area Number |
24760410
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
出村 嘉史 岐阜大学, 工学部, 准教授 (90378810)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 近代地方都市 / 市区改正 / 局地鉄道 / 電気軌道 / 岐阜 / 地方自治 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近代地方都市の典型として、岐阜における当初の公共事業がボトムアップ的に計画され実施されていた構造を示すことを目的とする。これまでに知られている官による都市建設とは全く異なる、地方独自のプロセスがあったことを解明するものである。 そのために実際の実施主体とその働きを、公的資料や古文書などの史料から調査・解析した。行った手順としては、1)資料収集、2)資料解読、3)整理・分析を進め、本年度明らかにする目標であった、明治末~大正期の都市建設状況(第二次市区改正を取り巻く状況)に関して、主体(や周辺組織・立場)・その意図や技術・資本、そして成果としての都市構造に関する実態を実証できた。 把握された主な事象は以下の通り。公共事業がボトムアップ的に計画され実施されていた市制開始時(明治20年代)と、国の基準で確実に都市計画を実施する法定都市計画開始時(大正末期以降)の間には、自治体制の大きなギャップがあることが前年度までに明らかになっているが、第二次市区改正時(明治40年代から大正初期)に、その変容の契機があった。岐阜市は周辺地方の局地拠点(例えば上有知町)と物資輸送の動線を、電気軌道や軽便鉄道で結び始める。実際は、局地からの幹線鉄道(岐阜駅)を目指した動線確保だったのだが、この動きは市街地への人の運搬を促進した。先駆となった美濃電気軌道は、主として大阪の才賀商会の資本と局地都市としての上有知の有志者らによって貨物輸送を目論んで運営されるが、軌道建設が岐阜市街地の市区改正と結びついた時に、岐阜市側は金華山と長良川周辺の集客を求める方向へ舵を切る。岐阜市の有志者らは電気軌道の集客効果を見出し岐阜公園への人の誘導を期待した。その背景には、市制開始以来市の基盤建設を担ってきた有力者層の世代交代があり、次世代を担う層は軌道を用いた消費活動を誘引することを求めるようになった。
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Research Products
(10 results)