2012 Fiscal Year Research-status Report
被災街区を推定可能な、衛星SAR・航空機LiDARを併用した都市域抽出手法の構築
Project/Area Number |
24760412
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
須崎 純一 京都大学, 工学研究科, 准教授 (90327221)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 合成開口レーダ(SAR) / 航空機レーザ(LiDAR) / 被災建物 / 災害 / 都市 |
Research Abstract |
本研究では、衛星搭載型多偏波合成開口レーダ(SAR: Synthetic Aperture Radar)データを用いて方位角に依存しない都市域抽出及び都市密度推定アルゴリズムの開発を行った。 都市域抽出では画像内のピクセルを異なるPOAごとに分割し、その各POAカテゴリにおいて体積散乱(Pv)と全電力(TP: Total Power)の二次元プロットに主成分分析(PCA: Principal Component Analysis)を適用する。ここでは都市域と農地からトレーニングデータを取得し、これらの土地被覆を分類する。また建物方位角を表すとされる指標であるPOA (Polarization Orientation Angle) を多偏波データから計算し、POAのランダム性を利用して最終的に都市域の抽出を試みた。 都市密度推定では、都市域抽出を行った結果を用いて得られた都市域を対象とする。多偏波SAR散乱電力はPOAに依存しているため、この影響を軽減するため1°ごとに分割したPOAスペースごとに散乱強度の平均・標準偏差を求め、それらを用いて散乱強度を正規化する。都市密度推定に最適な散乱電力を選定するため、精度検証用データとしてGISデータを用いて建蔽率・容積率を求めた。さらにそれらの指標との相関係数を計算することで最適な散乱電力の選定を行った。 結論として、都市域は80%以上の精度で抽出可能であり、都市密度は数百mのスケールであれば概ね妥当に推定可能であり、衛星画像を用いても都市密度推定が可能であり、今後様々な分野に応用できる可能性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
衛星搭載型多偏波合成開口レーダを用いた都市域抽出の成果は、国際学会で発表しただけでなく、国際学会誌に2編掲載され、順調に進んでいるといえるため。
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Strategy for Future Research Activity |
・単偏波・2偏波SARデータの活用:基本的に4偏波(HH, HV, VH, VV偏波)SARデータの使用を念頭に置いているが、4偏波データが得られない時に備えて、単偏波(HH)や2偏波(HH・HVまたはHH・VV)データでどの程度代用可能か検討する。 ・航空写真を用いた被災建物抽出アルゴリズムの開発:衛星画像では解像度の点で限界があるため、被災前後の航空写真から作成した地表面データ(Digital Surface Model: DSM)を使って、広域の被災建物を自動で抽出する手法の開発に取り組む。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初、Xバンドの人工衛星画像を購入する計画を立てていたが、H24年10月頃に人工衛星画像の購入が難しい(新規撮影が不可能)と判明し、結局購入できなくなった。また2012年3月~2013年3月の期間、科研費における研究テーマとは異なるものの衛星画像処理をテーマにした公益財団法人大川情報通信基金の研究助成を得ることができ、優先的に使用した。そのため当該研究費が生じた。次年度においては、主に国際学会参加費用、渡航費、論文掲載料、英文校正料を中心に支出する予定である。
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