2012 Fiscal Year Research-status Report
地方部における救急搬送から見た道路整備評価手法の構築
Project/Area Number |
24760418
|
Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
片岡 源宗 高知工科大学, 公私立大学の部局等, 助手 (20412447)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 道路整備 / 命の道 / 交通工学・国土計画 |
Research Abstract |
本研究は、過疎化が進み人口が減少しているゆえに、道路の整備は遅れがちで、また病院や消防署の統廃合が進む負のスパイラルに着目し、今後進む人口減、公共の予算減に対し、道路整備と救急搬送を対象としたものである。 救急車の搬送データ分析として、過疎化が進む地域を対象に、地域内の都市間に着目し、データの計測や分析を行った。遂行にあたっては、救急車の車両状態に着目し、3つに分類した。具体的には、消防署から現場までの患者を載せていない緊急車両の状態、現場から病院までの患者を載せている緊急車両の状態、病院から帰署の患者を載せていない通常の車両状態である。 現場から病院までの患者を載せている緊急車両の状態では、地域内の都市間搬送に着目し分析を行い、損失時間の発生要因や、高速道路の有無が医療格差に影響する可能性があることを実データより確認した。この要因としては、患者を搬送する病院は、当然ではあるが、傷病種類や程度によってことなり、程度が深刻なほど2次・3次といった高度な医療機関に搬送することとなり、都市間搬送が必要となり、搬送時間が長くなりがちである。一般的に搬送時間と救命率や後遺症の程度等は反比例関係にあるため、搬送時間が短いほど救急救命の効果が高くなるためである。 病院から帰署の患者を載せていない通常の車両状態では、緊急車両時と比べて走行速度が低く、所要時間が増加する。特に渋滞発生時は深刻となりがちである。都市内搬送に比べて都市間搬送は、出動から帰署までの時間が長くなるため、一時的にすべての救急車が出動し、救急車が不在となる時間が生じるリスクを増大させていることを確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
他の研究者らの成果の動向調査や、高速道路が整備されていない地域の都市間搬送のデータ計測・分析を行い、これらについては概ね計画通りに進捗した。 しかし、中山間地域で1.5車線的道路整備路線での搬送データについては、走行データを取得できなかったため、引き続き平成25年度も実施することとしたため、やや遅れていると判定した。 なお取得できなかった理由は、計測中に対象となる救急搬送要請がなかったためである。
|
Strategy for Future Research Activity |
計画に対し遅れている中山間地域の分析については、平成25年度も計測器の搭載を依頼し、中山間地域の搬送データの取得を目指す。 また類似の研究を行っている愛媛大学の研究グループ(吉井教授、二神准教授)と連携し、研究を進める。この理由として、愛媛大学の研究グループは、過去に中山間地の1.5車線的道路整備路線で計測実験を実施しており、このデータが本研究で活用できる可能性が高いことと、都市内(松山市)を対象とした分析を実施中であることから、着目している場所は異なるものの、目指す方向は同じであることから、連携を開始している。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画には愛媛大学との連携は入っていなかったため、高知-愛媛の旅費に活用する。
|