2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24760423
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
林 倫子 立命館大学, 理工学部, 助教 (60609808)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 水辺 / 近代都市形成 / 鴨川納涼 / 宇治川派流 / 舟運都市 |
Research Abstract |
平成24年度は、研究実施計画に予定していた「土地割と所有関係データの地図上への復元作業」のうち、京都鴨川沿岸および伏見宇治川派流・濠川沿いを完了した。またこれらの地域に関しては、平成25年度に予定していた「都市活動による水辺利用状況の復元」についても、一定程度の遂行をみた。 京都については、明治~昭和初期にかけての鴨川およびその沿岸の河川・交通インフラ整備と、夏季納涼営業期間における河川空間利用について、同時代の一次資料を用いて体系的に把握することができた。これらの情報より、納涼という伝統的な親水空間が、ただ保存されてきたのではなく、市街化、治水、風致、勧業等の諸観点から変質してきたことを示すことができ、これまで明らかにされていなかった河川空間の近代化過程および現代的な親水思想の萌芽の過程を捉えることができるものと期待される。次年度にこれらの情報を統合しまとめる作業を行う予定である。 伏見については、明治末年度から昭和初期にかけての舟運の隆盛と埋立工事計画についての一次資料を収集し、かつ沿岸官有地の借用状況を地図データ化し、一部は第32回土木史研究発表会において発表を行った。伝統的な河川舟運都市が従来の水辺空間を大改造してしまうまでの経緯に関して、陸路の発達により大都市からの独立を保てなくなり、埋立工事による近代都市化の財源確保を図っていくという政治的背景を詳細に明らかにすることができた。 当初研究実施計画に予定していた宇治に関しては、現在資料収集を進めており、次年度に今年度予定していた作業を遂行する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の進捗は資料調査の成否に依存する。このため、研究実施計画に予定していた手順とは一部異なり、平成24年度の計画に未達成部分が見られ、かつ平成25年度の計画の一部を先に遂行してしまった形となるが、研究の目的から判断される達成度としては1年分の成果を得られたものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は今年度の研究成果を発表するための審査付論文および出版原稿の執筆をまず行い、並行して前年度に行う予定であった宇治地域の研究に比重を置いて研究を遂行する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
先に述べたように、研究の進捗が研究実施計画に予定していた手順とは一部異なってしまったため、物品費、調査旅費、人件費(謝金)のそれぞれの面において執行額が当初予定を下回り、未使用額が生じた。 次年度使用額は、原稿の投稿料、学会発表旅費、および資料の購入費、資料収集旅費に充当する予定である。
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Research Products
(2 results)