2012 Fiscal Year Research-status Report
応答低減効果の向上を目指した空間構造物の制振装置の設計手法および改修手法の提案
Project/Area Number |
24760447
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
熊谷 知彦 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (70376945)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 空間構造物 / 地震応答 / 制振装置 / 応答低減効果 / 耐震改修手法 / エネルギー吸収性能 / 時刻歴応答解析 / 振動台実験 |
Research Abstract |
平成24年度の実施計画は,1) 対象とする空間構造物の選定,2) 制振装置の選定および設計,3) 制振装置を付加した空間構造物の応答性状の分析であった。 1)については,本研究で対象とする空間構造物の選定の結果として,平成23年度まで対象としたアーチ構造物からの発展を考慮し,体育館等に多用される屋根型円筒ラチスシェルを対象とすることとした。その際,多数の予備解析を行い,卓越モードが近接した固有周期を有するラチスシェルを選定した。今後は,球形ドームなども選定に加える予定である。 2)については,当初の計画通り分散して配置が可能であり,多くのモードが近接して存在する空間構造物に対して効果の高い制振装置であると考えられるTMDを選定した。TMDの設計に当たり,当初は構造物の減衰がTMDの設計値に与える影響が大きいと想定していたが,検討の結果,それ以上に質量の設定が与える影響が大きいことがわかった。結果として,各モードの等価質量をTMDの設計用質量として採用した設計法を用いることとした。 3)については,1)で決定した空間構造物を対象として,まず2)で検討したTMDの設計を行った。次に,TMDの制御対象の振動モードの抽出を行い,有効質量の観点から1,3,7次を対象モードとした。平成24年度は, TMDの設置位置,個数の違いによる応答低減効果への影響およびTMDによるエネルギー吸収性能を分析した。その結果,TMDを適用する場合には制御対象モードの腹に多重TMDを分散して設置することで応答を均等に低減可能であること,単一のモードを制御対象とする多重TMDを同時に設置することで,単独での設置に比べて構造物全体の応答を均等に低減でき,かつ低減効果が大きいことがわかった。また,円筒ラチスシェルのTMD設置による応答低減率は,TMDが吸収するエネルギー量と良い対応を示すことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書において平成24年度に行うことを計画していた内容について概ね達成することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降については,以下のように推進することを考えている。 1) 多数の入力地震波に対する応答低減効果の分析:平成24年度においては1種類の地震波に対してのみ検討したが,多数の入力地震波を設定し,応答低減効果について分析する。 2) 制振装置の設置位置決定方法の改良:更なる低減効果の向上を目指し,パラメータの設定および設置位置の決定を最適化問題として扱う。最適化手法には,多目的最適化手法NSGA-IIを使用することを考えている。ここで得られた,TMDの設定値を用いて,低減効果について検証を行う。 3) 多方向入力に対する応答低減効果の検証:前述の若手研究(B)において行った多方向入力による空間構造物の応答性状についての分析結果をもとに,水平2方向,水平鉛直2方向,3方向入力に対する制振装置を付加した場合の応答低減効果への影響を数値解析により分析する。ここでは,多くのモードが連成することによる応答低減効果への影響を中心に分析する。 4) 大地震時における制振装置の挙動の分析および低減効果の検証:平成21~23年度の若手研究(B)において大地震時を対象とした空間構造物の崩壊挙動の分析および予測を行った。そこでの研究の蓄積をもとに,制振装置を設置した場合の空間構造物の大地震時における挙動および応答低減効果への影響を数値解析により分析する。ここでは,大地震時に予想される,制振装置の可動域を超えた場合の挙動および空間構造物の損傷の発生の有無に着目して分析する。 5) 振動台実験による制振効果の検証:ここでは,数値解析によって分析した応答低減効果を実挙動の観点から分析することを試みる。空間構造物の振動実験システムは,既報において提案したシステムを改良して用いる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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