2012 Fiscal Year Research-status Report
薄板軽量形鋼造建物における耐震要素の合理的な設計法の構築
Project/Area Number |
24760450
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 篤司 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00362319)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 薄板軽量形鋼造建物 / スチールハウス耐力壁 / 耐力 / 剛性 / 垂壁 / 脚部剛性 / アンカーボルト軸方向力 |
Research Abstract |
薄板軽量形鋼造建物に用いられる耐力壁(スチールハウス耐力壁)の力学的挙動を把握することを目的として、通常用いられる長さ910mm(1P)耐力壁と長さ455mm(0.5P)耐力壁の基本試験を実施した。実験パラメータとしては耐力壁の長さに加えて、耐力壁面材のドリルねじ間隔と外縦枠材を繋ぐ綴り梁とした。試験は計4体の試験体を設計し実施した。基本試験体の実大実験を実施することで耐力壁単体の基本性状を明らかにし、1.0P耐力壁と0.5耐力壁をそれぞれ単体として用いる場合の設計上の留意点を明らかとした。0.5耐力壁を単体として用いた場合、耐力としては1.0P試験体と同程度であるが、脚部での変形量が大きくなるため、結果として剛性が低くなる傾向があることが明らかとなった。したがって、0.5P耐力壁を1.0P耐力壁と併用する場合には、脚部剛性の割増、あるいは設計耐力の低減をする等の配慮が設計時に必要となることが明らかとなった。 0.5P耐力壁のさらなる活用を目指して、数値シミュレーションを用いて垂壁で繋いだ耐力壁の構造特性を検証した。その結果0.5P耐力壁を垂壁で繋いだ架構が1.0P耐力壁と同等以上の性能の保持できることが明らかとなった。垂壁を用いて0.5P耐力壁を接合して用いることで、耐力と剛性の向上のみならず、耐力壁を基礎に締結するアンカーボルト軸方向力も大幅に低減される効果があることも明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
耐力壁と耐力壁を垂壁等の部材で繋いだ平面架構試験体を用いた実験を実施するに至らなかったが、数値シミュレーションから垂壁の効果が耐力壁の構造性能に十分に寄与することを明らかとした。また、数値解析を用いたパラメトリック解析より、スチールハウス耐力壁の長さを変化させた場合の有効活用の方法を明らかにした。このことから達成度はほぼ予定通りと判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
垂壁等の部材が耐力壁の構造性能に効果を発揮することが数値シミュレーションより明らかとなったことから、実大実験による検証を行う。また実験では、パラメトリック解析より明らかとなった設計の支配因子をパラメータとして実験を実施する。その結果として数値解析より得た工学的な知見の妥当性を検証する。 これまで、構造要素として利用されなかった垂壁の効果を耐震設計に反映するためには、その効果を力学モデルとして提案し、設計でダイレクトに利用できる形式とする必要がある。定量的な評価が可能な設計式の提案を最終目標とする。また、腰壁も耐力壁に付属する要素であり、耐震要素に加味できる可能性があるため、垂壁・腰壁の双方が考慮できる設計体系の確立を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
スチールハウス耐力壁の構造特性は、耐力壁に接合される面材に大きく影響されるため、接合面材を変更した場合の構造特性について初めに明らかにする。次に、耐力壁のさらなる活用に有効となる架構の効果をより明確にするために、実大実験を実施し、前年度明らかとした垂壁のよる効果の定量的評価を目指す。 平面架構の実験では、脚部剛性、垂壁接合剛性をパラメータに実験を実施する。脚部剛性と垂壁接合部剛性は、架構の構造性能(耐力・変形能力)に大きく影響するため,構造性能を最大化する接合形式、経済性(施工性)を考慮した接合形式を選定し、合計4体の実大実験を実施する。また、基礎締結部でのアンカーボルト軸方向力の設計(軸方向力の低減)を最適化する剛性バランスについても考察を進める。 耐力壁単体・平面架構として構造性能の定量的評価を実施した後、立体架構として活用する可能性について明らかとする実大実験を実施する。
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