2013 Fiscal Year Research-status Report
歴史的煉瓦造建築物の耐震補強に資する振動特性調査と振動実験
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24760452
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
多幾山 法子 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 准教授 (10565534)
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Keywords | 煉瓦造建築物 / 耐震補強 / 振動特性 / 小型振動台実験 / 意匠 |
Research Abstract |
近年,歴史的煉瓦造建築物の保存・再生が注目されているが,煉瓦壁が面外方向に崩壊する地震被害事例が多く,耐震性の向上が課題である。また,補強実施例が様々あるが,補強効果に関する実証的な研究は十分とは言えない。本研究では,耐震補強が実施された煉瓦造建築物を対象として,補強前後に常時微動計測を実施し,煉瓦壁面外方向の固有振動数や振動モード形状,1次減衰定数の変化を把握した。また,梁要素を用いた簡単なモデルを対象として固有値解析を実施し,補強部材として鉄骨フレームやRC耐震壁を増設した場合における,鉄骨柱の断面2次モーメントや耐震壁厚さの増加と固有振動数の上昇との関係を定量化した。類似の成果を昨年度にも提示しているが,さらに改良した成果を,the International Conference on Earthquake Engineeringに投稿し,口述発表を行った。 その後,木煉瓦を用いたミニチュア試験体を作成し,小型振動台で振動実験を実施した。その成果を現在まとめているところである。また,実大試験体を作成し,補強部材の付加と振動特性との関係を実証的に示すために,部分試験体を設計している。 文化財であるという価値を保存するため,意匠的な変更を出来る限り行わない補強を施すことが望ましいが,耐震性を確保するためには様々な耐震要素の増設が避けられない。そこで,耐震性を高めることと平行し,意匠面に及ぼす影響についても考察を行っており,その成果は2014年の日本建築学会全国大会に投稿済である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
耐震補強が実施された煉瓦造建築物を対象として実施した常時微動計測結果を集約し,補強前後での振動特性の変化を解析的に確認した。また,昨年度に作成した梁要素を用いた解析モデルを改良し,固有値解析を実施し,the International Conference on Earthquake Engineeringに発表することができた。 上記の結果を踏まえ,木煉瓦を用いたミニチュア試験体を作成して実施した小型振動台で振動実験については,実験結果の分析が若干遅れているが,実大試験体を用いて補強部材の付加と振動特性との関係を把握するための実証実験を計画しており,次年度中には成果を出せると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平面形状の異なる木煉瓦を用いたミニチュア試験体を作成し,小型振動台を用いて振動実験を実施済である。試験体は,スケールは異なるものの,常時微動計測を実施した建物を模擬した形状となっており,その成果を現在まとめているところである。また,実大試験体を作成し,補強部材の付加と振動特性の変化との関係を実証的に示すために,異なる補強を施した部分試験体を設計している。本実験成果と固有値解析を組み合わせ,補強量と剛性の増加率を分析する予定である。 上述のように,2014年の日本建築学会全国大会に投稿済であるが,文化財であるという価値を保存するため,意匠的な変更を出来る限り行わないリノベーションを実施することが望ましい。耐震性の向上と意匠の変化についての考察を深める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実大試験体の設計が若干遅れていることも要因であるが,残額よりも高額な発注をしたいと考えているため,次年度へ繰越して使用することを希望した。 次年度の研究費と併せて,補強部材の付加と振動特性との関係を把握するための実証実験を実施するための試験体,および載荷装置,計測機類の費用に充てる。また,解析に必要なソフトの購入に充てる。
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Research Products
(1 results)