2013 Fiscal Year Annual Research Report
ポリマーセメント防水層の微細構造とひび割れを有するRC構造物の塩害抑制効果の関係
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24760455
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
塚越 雅幸 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 助教 (50579711)
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Keywords | ポリマーセメント / ひび割れ / コンクリート / 耐疲労性 / 塩害 / 微細構造 |
Research Abstract |
本研究では,ポリマーセメント系塗膜防水材下の下地コンクリートに発生したひび割れムーブメントに対する耐疲労性能および,下地コンクリートの塩害抑制効果に対してそれぞれ検討を行った。 まず,ポリマーセメント系塗膜防水材の下地ひび割れムーブメントに対する抵抗性について,疲労試験および,材料内でのセメントとポリマーの分布状況についてSEMによる観察やいくつかの基礎的な力学的性質の観点から検討を行った。調合条件によっては,ポリマーセメント系塗膜防水材は,その構成材料であるポリマーとセメントの比重さにより断面方向での材料の不均一性が生じる事がSEM観察により認められた。このような養生中に断面方向で材料分離が生じたポリマーセメント系防水材料は,均質な材料と比べて耐下地ひび割れ性能は低下した。 次いで,ポリマーセメント系塗膜防水材による外部からの塩化物イオンの浸入抑制効果について,防水材施工後に下地にひび割れが生じた場合を想定した実験を行った。ポリマーセメント系塗膜防水材の塩化物イオンの浸透抑制効果は大きく,防水材を施工する事で塩化物イオンの透過を抑制した。しかし,下地にひび割れが発生した場合では,0.5mmと比較的小さな場合においても急激に塩化物イオンの透過量は増大し,ひび割れ幅の大きさに比例して抑制効果が低下する傾向があった。 ポリマーセメント系塗膜防水材の養生中に材料分離は,耐下地ひび割れ性能を低下させ,万が一,下地にひび割れが生じた際に塗膜厚さの減少や塗膜の破断が生じる恐れがあり,躯体の保護効果がひび割れ近傍部において著しく低下する危険性がある。材料の設計段階において基本的な力学的性質や施工性のみならず,材料分離抵抗性についても十分配慮する必要性があると考えられる。
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Research Products
(4 results)