2013 Fiscal Year Annual Research Report
液状化地盤における杭の損傷が長周期構造物の地震時挙動に及ぼす影響
Project/Area Number |
24760459
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
肥田 剛典 東京理科大学, 理工学部, 助教 (60598598)
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Keywords | 杭基礎 / 液状化地盤 / 遠心力載荷実験 / 損傷評価 / システム同定 / 部分空間法 / 応答変位法 |
Research Abstract |
本年度は、杭の損傷の有無をパラメータとした液状化地盤-杭-構造物系の動的遠心実験のデータを用いて、杭の損傷が建物の地震時応答に及ぼす影響を検討し、杭の損傷評価の可能性について検討した。 杭が健全である場合に比べて、杭が損傷した場合には系の固有振動数や固有モードが変化する可能性が考えられる。そこで、振動台加速度を入力とし、地表面、基礎部および上部構造物の加速度を出力として、部分空間法によるシステム同定手法を適用し、地震動の継続時間内における系の固有振動数と振動モード形状の経時変化を検討した。その結果、健全杭と損傷杭の各ケースにおける系の固有振動数の差異は明瞭に認められなかったものの、固有モード形状が異なることが分かった。健全杭のケースでは、地盤の挙動に対して杭が抵抗するのに対し、損傷杭のケースでは杭の抵抗力が弱まる。そのため、健全杭のケースでは基礎部のモード振幅が地表面のそれより小さいのに対し、損傷杭のケースにおける基礎部のモード振幅は地表面とほぼ同程度となった。このことから、地震時の加速度データを用いてシステム同定を行い、系の固有モード形状を検討することによって杭の損傷を評価できる可能性があることが分かった。 次に、応答変位法を用いた杭の損傷評価手法について検討した。まず、応答変位法によって杭先端に対する杭頭の変位を評価し、その結果が遠心実験と良好に対応することを確認した。続いて、杭頭と杭先端が損傷していると仮定し、応答変位法から算出される杭頭変位が実験の損傷杭のケースにおける杭頭変位と一致するような杭の曲げ剛性を同定した。その際の曲げ剛性は、遠心実験における損傷杭のケースの杭頭・杭先端の曲げ剛性と良好に対応した。このことから、地震時の杭頭変位と対応するような杭の曲げ剛性を同定することで、杭の損傷評価が可能であることが分かった。
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Research Products
(8 results)